アウモエ aumoe【真夜中】

容子

はじまり

僕とお付き合いして頂けませんか。


彼が言うならこんな感じと想像したことが、1度あった。

でも、実際は予想外の言葉が、私と彼のはじまりとなったことを覚えている。


俺の女にならないか。


「俺の女にならないか」

私は彼が言った言葉を心の中でゆっくりくり返した。

私に言ってることで、我に返る。


「え。それって何」


それって何という返事も、今思うとどうかと思う。


「いくらか毎月お金を振り込むんで、いつでも俺が行っていいように暮らしていてほしいんだ。」


「あ、そういうことなのね。色々、聞きたいことはあるけど、でも、いいわよ。」


「良かった」

彼は、緊張していた顔を緩め、少しにっこりとした。


私と彼は仕事中で、今は昼時、この日たまたまコンビニで互いにお昼ごはんを買う時、偶然会ったのだ。


私はおにぎりにくぎづけだったけれど、ふと視線を感じ、振り返ると彼が立っていた。


「何選ぶか見てたんだ」


「へ?」

私は驚いて変な声が出た。


私は梅を選び、それを買った。


一緒にコンビニを出て、歩き始めた時に、彼が切り出したのが最初に書いた話だった。





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