14話 一級フラグ建築士
さて、向こうから動いてくれるのはありがたい。
この王国付近のダンジョンだと確か、クリープ町にあるカノープスダンジョンだな。
あそこのダンジョンは、表層は優しい初心者向けだが、あるギミックを動かしてしまうと裏層に飛ばされて、出てくる魔獣なども馬鹿みたいに強くなる。
初めて攻略しに行った時はクレイブが、そのギミックに埋め込まれている宝石に目が眩んで罠を発動させてしまい、初心者ながらチートスキルのお陰でギリギリ生きて帰ってこれた。
表層と裏層は鏡合わせの世界になっている。
行きは簡単だが、裏層から帰るのは至難の業で、いくら騎士団長といえども初心者何人もを引き連れて攻略するのは不可能に近い。
「ダンジョンかぁ、やっぱりゲームみたいなのかな?」
「ちなみにどんなゲーム通りを期待してんの?」
柚姫が表情をワクワクさせながら、明日のダンジョンに思いを馳せているので、興味本位からどんなゲームか聞いてみた。
俺も今のリアには劣るがゲームオタクと自称して差し支えないくらいゲームをしていた。
柚姫あたりなら、妖精とかが出てくる女子向けファンタジー作品だろう。
「バカモンだよ」
「………なにそれ?」
全く予期していなかった作品名を言われてつい少し固まってしまった。
そんな俺にはお構いなしに、柚姫はバカモンについて語り始めた。
「え⁈普、バカモン知らないの⁈可愛いキャラクター同士が戦うんだけど、勝つと負けた方にバッカモーンて言うんだよ!名作だよ」
「いや、知らないし。なにそのシュールなゲーム、まず可愛いキャラクターの口調がバカモンって…」
ありえない!
って表情を浮かべてこちらを見ている柚姫に言い返していると、後ろから気配がした。
「なんじゃあまね!バカモンを知らぬのか⁉︎あれは名作じゃぞ!」
リアがお供を引き連れながら背後から近づいてきて話に入り始めた。
「ええ⁈リアちゃんもバカモン好きなの⁈えっ良いよねあれ!」
「うむ!あれは隠れた名作じゃ!隠れておるのが勿体無いくらい隠れておるのが玉に瑕のな!それにしても柚姫、お主バカモンを知っておるとは、案外やるのぉ」
「リアちゃんほどじゃないよ〜」
謙遜しながらも表情はリアに褒められて嬉しさを隠しきれていない柚姫と、まるで同志を見つけたみたいな顔をしたリア。
2人はしばらくバカモンの話で盛り上がり、ひと段落着いたところで、話は明日ゆくであろうダンジョンの話に移っていった。
「そう言えば、私たち明日ダンジョンに行くんだけどリアちゃんも来られるの?」
「うむ!そのつもりじゃ。それに妾くらいのレベルでは明日行くダンジョンごとき楽勝じゃ!大船に乗ったつもりでおれ」
あ、
フラグ建設された。
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