12話 カワイイコイビトサマ
桜衣が何度も親父ギャグを言ったわけではないことを念を押していったすぐ後。
入れ替わるように入って来たのは、現在軟禁もとい贅沢な生活をしているリアだった。
「あーまねー!」
扉とは反対の方から飛び込んできたリアを危うげなくキャッチしベッドへ投げ捨てる。
「なんじゃ、つれないのぅ。久しぶりの再会というに抱擁からの口づけも受けぬとは……妾は思ってもおらんかったのじゃ」
投げられた体制でベッドに寝そべるリアは不満そうに年頃の女の子らしくあざといポーズを取る。
「はいはい、久しぶり」
「うー、つれない!妾の恋人様はつれないのぅ。こんな可愛い妾に反応しないじゃなんて、あまねお主もしやそっち系なのかの?もしくは…」
あまりにもあんまりな内容の暴言を吐いたあと、物悲しげな表情で俺のある一点を見つめてくる。
「ハイハイカワイイカワイイ。今すぐ襲いたくなるくらいカワイイカワイイ」
近くに寄り、リアの小さな顎を包み込むように片手で持ちクイッと上にあげる。
そして、段々顔と顔を近づけていく。
「……どうだ満足か?」
「キメ顔キモい………のじゃが?」
言葉とは正反対にふにゃふにゃした表情を浮かべるリアに、わざとふざけた態度をとる。
「語尾って着脱可能だったのか⁈」
「着脱可能ってなんじゃ⁉︎今のは柚姫の真似をしてみただけじゃ!」
あいつ…
と恨みがましいかおを作る。
そして互いに無言で数秒見つめていると、
次第にどちらともなく笑い出した。
リアとの久しぶりの会話に和みながら、最近の様子を聞く。
夜はまだまだ始まったばかり
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