骸骨の世界で生きる

夜迷 メア

プロローグ

ーーーーーーとある夏の日の事。ーーーーーー


私は事故に遭った。私の後ろに続いて歩く友達と話していると突然、右半身に強烈な痛みが走った。ふわっと宙に浮いていた。この景色はまるでスローモーションのようにとてもゆっくりと見えた。私はボーッとその光景を眺めていた。

「涼花!!」、耳をつんざくような声で意識が戻った途端、思いっきりアスファルトに叩きつけられた。やっぱり普通に転ぶよりも遥かに痛い。腕や足は重い身体に引きずられ、皮膚が破れていく。臓器も潰れていくのが感じられた。鉄のような臭いが口や鼻に広がっていく中、通行人は恐怖のあまりに叫び、友達は「死なないで!」と号泣していた。でも、もう無理なんだ。意識が遠のいてきた。目の前が白く霞む。せめて何か遺言を遺してから逝こうかな。「この世は意外と楽しかったな…」鉄の臭いがする口をゆっくり動かし最後の言葉を遺した。


そこで意識は完全に途絶えた。

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