第8話アイアムアユウシャ

「つ、つかさ?」


「うん?なに?」


「その名前はこの世界を救ったとされる勇者様の名前と同じなのです。」


「えー。そうなのか」




(いまいち温度差が合わない


同姓同名も珍しくないだろう、名前くらい同じで問題でもあるのか)


モガミはあきれた口調になる




「勇者の名を語る少年と魔王の容姿をもつ少女、悪質な悪ふざけと取られても仕方ないレベルですね。」


「な、なるほど?」


「デリケートな問題です。わたし達はおふざけ集団ではないのですから。自分達はバカだ、と言いふらしているようなものです。」


「わ、わたしは一応勉強がんばってるので...」


(健気...!!)


眼が合う


「町へ行きましょう。お昼ごはんがまだです。」






















「あれはなに?」


「あー、えっと、それはですねぇ...たぶん魚?」




(いや、わかるよ!目の前の魚じゃなくて!明らかにこっちを睨んでいるちっちゃい子!!)




「ざこ!!!」




ぐさっ......




(心に効果は抜群だァ!)


純粋な瞳は確かに僕をとらえていた




「あ、ひ、久しぶり」


「おねえちゃん!!!こんなやつ嫌い!!」


「うっ...」




(ストレートすぎん!?)




「あ、えっとね新しい私の仲間?」


「きもい!!!!!」




(そこで疑問形にならないで!!いたいっ!!)


小さな女の子に睨まれ、完全に仲良くなるタイミングを失った




「えっと、名前はなんて言うのかな?俺はツカサ!よろ..


「きもい!!!!!」




失った












「お前、わたしが買い物している間にそこで何してるんだ?」




怪訝な顔をして奥からモガミが現れる




「自分...きもいですから...」




遠い空を見上げ、解体された魚達と並んでいる


(自分を守れるのは自分...)




「ほら、いくぞ。お嬢がお腹を空かせては大変だ。」


「も、もがみぃ...私そんなに食いしん坊じゃ...」




(反論してる姿もかわいいなぁ...)


くるっとニーアが振り返る




「じゃあね...」


「うん!ばいばい!」




キッと睨まれたような気がした。


気のせいだよね???




「うーん、案外宿屋まで遠いな」


「そうですね。お金にはそれほど余裕があるわけではないので。」


「ふーん」




ちらりと様子を伺う


宿屋に着くまで下を向きフードを深くかぶっていた




「では、調理をしてくるので少々お待ちください。」


「おう」




フードをかけ終わり


ニーアがどこに座ろうかあたふたしている


(かわいい)




「こっちに座れば?」


「あ、はい...」




かわいい生き物がトコトコとやってくる


チョンと座りちらちら様子を伺ってくる




「ニーアはさ、何で俺を旅に誘ってくれたの?」

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