みずあめ

みずあめみたいな君の髪に埋もれ僕は溶けていた

夜をそのままひきずった朝が窓の外に立っていて

指先が透明になって朝が虹色に光った

プリズムである


しとしとと雨が(そしてときおりぬいぐるみと夢が)空の穴から降っている

僕ら2人は1つになって街で住処を探していた

ときどき3つや4つにもなった

不動産会社のクラゲが老婆を刺し通りがかった救急車がそれを拾い上げた


寝屋川ではローワン・アトキンソンが三点倒立をしているらしい

反体制テレビに手を置いてアイドル芸人で福笑いをする君

どこからか猫の鳴き声が聞こえてきて

それは君の甘え声だと気づく


今日は何をしよう と 君に声をかけると

こぽこぽこぽ と 水槽の中からチョウチンアンコウが返事をした

「遊びに行こうよ」と君が言ったので

僕らは床に沈んでいった

みずあめの中に溶けたままで

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る