第6話 忠義のスライム、その名はブルース(♀)

『ぴきぴきぴぃーっ!(ら…らめぇー…!拙者、進化すりゅーっ…!)』



「え?進化?」



思わずポツリと呟いてしまった。進化するってどゆこと?てか生物ってこんな簡単に進化するものなの?疑問が浮かんでは消える。と、とりあえず様子を伺おう。



「嘘だろ……?」



暫く様子を見ているとブルースは変貌した。何が一番驚いたかと言うと不定形のぷるぷるから形を変え人っぽくなっている。しかもめっちゃ可愛いのだ。見た目十才くらい。口調からしてオスだと思っていたが実はメスで可愛らしく愛らしい姿になっていた。



いや、そもそも性別なんかないのか?スライムだし。全体の色は青いが少し澄んでおりどちらかと言うと水色だ。だが目鼻立ちははっきりしており幼い容姿は何処か亡くなった妹を思い出す。



『主殿、ブルースは進化することに成功しました。より一層勤めさせて頂きます。』



「あ、あぁ。ブルース…お前…その姿は?」



『主殿より名を授かった時、魔力を共に注がれた感覚が有ります。今の拙者はブルースライムに似て否なる者。さしずめヒューマ・スライムと言いましょうか。この姿は主殿の記憶を元に構成されたものでござりまする。』



え、マジか。名前を付けたから進化したってこと?理解が追い付かん、どうすりゃいいんだ?



『主殿のためならば例え火の中、水の中。これからは拙者が主殿をお守り致します。』



「お、おう…よろしくなブルース」



なんか勢いで付けた名前だけど、こんな可愛い見た目だと悪いことしちゃったかな?



『はい!!主殿に頂いたこの名は大切にしとうございまする。どうか何卒、御慈悲を!!』



キラキラ光っていた目にうるうると涙が溜まる。



なんだ、この生物。尊い…!



「あ、あぁ、そこまで気に入ってくれたなら良かったよ。ありがとな」



『勿体なきお言葉。このブルースより一層主殿に忠義を尽くしましょうぞ。それから主殿、拙者に川の水を貯水する許可をいただけませぬか?今後色々な機会で必要になるかと』



うん、人が生きてくには水は最低限不可欠だよな、ブルースは良く分かっている。頭の良い子だ。



「分かった。ブルースの好きにして良い。これからは俺の許可なんて要らないから自分の思う様に行動してくれ」



『はっ!』



短い返事で膝を着き頭を垂れる。俺、ただの大学生だぞ?まぁ、死んじゃったから今は無職だけど。だけど、魚三匹で恩義を感じてこんなに忠スライム?になるとは…



悩みの種がまた増えた……。


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