従者型の戦い方

どんな構成にしたとしても、それは役割と使う技能から分類することができる。それはダブルクロス以外のTRPGでも同じだろう。


筆者が行なっている従者型の分け方は以下の通りである。


①アタッカー役

なんらかの手段により敵にダメージを与える役割を持つ従者型である。アタッカー役には作成者が戦うものと作成者が戦わないものがある。アタッカー役の作成者にとって重くのしかかるものが《赤色の従者》のデメリットである「あらゆる判定のダイスが3個減少する」ことだ。従者は作成者の技能に関わらず技能が0のであり、作成者で技能を上げてしまうと経験値が足りなくなるため固定値をつけにくい。そこにダイス低下が来るため、かなりきつくなるのである。《鮮血の一撃》など、ブラム=ストーカーには使いやすいダイス増加エフェクトが存在するが、それでもマイナス3はきついため、アタッカー役では作成者が戦わない場合もある。従者は《忌まわしき砲弾》が存在することから範囲攻撃が行いやすいため、それでも悪くないのである。EA環境なら攻撃力+Lv×5であるにもかかわらずデメリットが《忌まわしき砲弾》と組み合わさないと使用できないことだけである《怒涛の狩人》もあるため、更にそちらを選ぶメリットが増えるだろう。

また、アタッカー役は使用する技能からさらに分類することもできる。


⑴白兵アタッカー役

〈白兵〉技能を使用することで戦うアタッカー役である。《愚者の兵装》から入手できる従者の爪が攻撃力8と優秀なため、これを使っていく場合が多いと思われる。ただし、従者の爪は「従者の身体が変化した」「爪」と言っておきながらデータ渇きの主が使用不可能であるため、従者の爪を使用するなら装甲無視のためのエフェクトを他に用意するか、GMに使えるようにして貰えないかと相談する必要がある。ただ、分かっているとは思うがルール変更の強要は行なってはならない。もし、ルール通り運用すると言われたならばスパッと諦めて《滅びのかぎ爪》や《破壊の爪》などの素手データ変更エフェクトを取得しよう。

察しがついた人もいるかもしれないが、白兵アタッカー役を使うことのメリットは《渇きの主》の存在によって非常に装甲無視を行いやすいことが挙げられる。射撃アタッカー役やRCアタッカー役では恒常的な装甲無視は行いにくいため、そこが差別点となるのだ。RCアタッカー役には《サイレンの魔女》があるじゃないか、と思う人もいるかもしれないが、従者型で《サイレンの魔女》を使うと侵蝕率がマッハで上昇していくため、こちらは比較的侵蝕率が上昇しにくいことが差別点となるだろう。


⑵射撃アタッカー役

〈射撃〉技能を使用することで戦うアタッカー役である。《愚者の兵装》で取得できる従者の弓が攻撃力7で射程:視界と、とんでもなく優秀なため、ほぼ確実に使っていくことになる。EA環境では《忌まわしき砲弾》と《怒涛の狩人》と《実態なき一撃》を組み合わせることで《サイレンの魔女》のようなこともできる。

RCアタッカー役にも同じことが言えるが、後衛から攻撃する従者型では従者をどうやって生存させるか、ということが最大の問題になる。一番楽で簡単な対策は従者を作成者がカバーリングすることだが、RPがとても難しいためできるならば他の対策を行なっていきたいところである。また、従者が生存することを祈って対策0で挑むことも手ではある。前の話で書いた通り、確実にシナリオボスは範囲攻撃を持っているので、この手を使う場合は《加速する刻》を使われないように祈りつつ行動値を上げて範囲攻撃を使われる前に攻撃することになるだろう。《加速する刻》をあまり使用しないGMのシナリオボスであれば有効であるし、《加速する刻》をよく使用するGMであっても憐れみから使わないで貰える可能性もある。まあ、筆者がGMであれば元々使う予定なら従者型を使うPCに示唆しつつ、遠慮無く使うが。


⑶RCアタッカー役

〈RC〉技能を使用することで戦うアタッカー役である。基本ルールブック環境では非常に使用するのが難しい役であり、逆にEA環境だと作るのが比較的楽になる役である。

基本ルールブック環境で難しくなる要因は白兵アタッカー役と射撃アタッカー役で使用できた《鮮血の一撃》《滅びの一矢》のような使いやすい起点が存在しないことが大きい。また、技能を上げられず、基本ルールブック環境では従者の固定値を上げる方法が少ないため、命中判定を成功させること自体が厳しくなるのである。

逆にEA環境で楽になるのは《愚者の兵装》で従者の回路を取得可能になるからである。これは《ハードワイヤード》で言うところのRCブースターと同じ効果であり、経験点5点で〈RC〉固定値を2点を得ることができる。〈白兵〉や〈射撃〉の場合、従者の技量を取るせいで2つ目以降は1点しか上げられなくなるため、これは〈RC〉だけの特権と言える。

射撃アタッカー役でも書いたが、RCアタッカー役でも最大の問題はどうやって生存させるかである。対象:シーンになると対策方法はかなり限られてくるだろう。対象:範囲なら《従者の疾駆》で作成者と従者のエンゲージを解いたりすることや、作成者が《孤独の魔眼》や《ミスディレクション》を使うことなど、いくつかの対策方法がある。

PLが最も使いやすいと思える対策を取るのが良いだろう。


⑷その他技能アタッカー役

〈交渉〉や〈運転〉などのその他技能を使用して戦うアタッカー役である。従者と作成者が一丸となって敵に罵詈雑言を浴びせたり、従者と作成者が一丸となって車ごと敵に突撃する姿はただそれだけで話のネタになるだろう。

〈交渉〉を使う場合、そのメリットは〈RC〉よりも比較的装甲無視がしやすいことになると思われる。その代わりに〈RC〉で出来ていた固定値上昇のしやすさが無くなるため、基本ルールブック環境とEA環境両方で使うのが難しい構成になるだろう。

〈運転〉は意外と従者型とシナジーがある。ヴィークル、特に〈運転:四輪〉のヴィークルは総じて装甲が高く、従者の生存の手助けになってくれるからだ。また、移動距離が長かくなるため《従者の疾駆》などの移動エフェクトの効果もより高くなる。100m離れているところから一瞬で距離を詰めるのもザラだろう。ただ、〈白兵〉と比べると《渇きの主》が使えないせいでかなり装甲無視がしづらくなっている。装甲無視に関しては他のエフェクトを用意するか諦める必要があるだろう。


②カバーリング役

その名の通り、カバーリングエフェクトを使用することで味方を守る型である。筆者が初期作成において従者型を作るならどれが一番使いやすいか、と言われたならまず間違いなくカバーリング役と答えるだろう。

カバーリング役を使うメリットは、従者を生存させるための方策とカバーリング役として強化するための方策が両立することと、カバーリングエフェクトは行動済みでも使えるため《赤色の従者》を素で使用するだけでも悪くないということである。

基本ルールブック環境でのカバーリング役は絶対にクロスブリードかトライブリードになる。これは基本ルールブック環境ではブラム=ストーカーにカバーリングエフェクトが無いからである。さらに言えばEA環境でもブラム=ストーカーには作成者が使用できるカバーリングエフェクトは存在しないため、EA環境であっても特に理由がなければクロスブリードかトライブリードにすべきだろう。

この時組み合わせるシンドロームはカバーリングエフェクトを持っているブラックドッグ、キュマイラ、エグザイル、モルフェウス、オルクス、サラマンダー(、ウロボロス)のいずれかが優先される。オプショナルでは、《ミスディレクション》を持つエンジェルハィロゥ、《孤独の魔眼》や《虚無の城壁》などを持つバロールも候補に上がってくるだろう。ノイマンを入れて《八重垣》を修得するのも悪く無いが、その場合は侵蝕率に注意すべきだ。

なお、カバーリング役で最も相性の良いシンドロームはエグザイルである。これには最大レベル10のHP増加エフェクト《異形の刻印》の存在が大きく、通常のHP増加エフェクトの最大レベルが5であることを考えると、かなりの経験点節約になる。

カバーリング役では毎ラウンドHP50以上の従者を作成し、その従者にカバーリングを行わせることになる。従者をカバーリングするよりは、断然RPは楽な上にそこそこ使えるので、もし従者型を使うときに迷ったならこのカバーリング役を使うのがオススメだ。


③サポート役

ダイス増加エフェクト、固定値増加エフェクト、C値低下エフェクト、攻撃力増加エフェクト(、回復エフェクト)、再行動エフェクトなど支援を行うエフェクトを使用して仲間の手助けを行う役である。作るのが簡単そうに見えて、実際のところ完成してみるとほとんどの構成が従者を使わないものの劣化になるという悲しみを背負っており、後衛でたくさん従者を作って支援しまくりたいと漠然と考えていた初心者を粉々に打ち砕く魔王である。もし、「これ○○の劣化じゃね?」と言われたくなければ作らないほうが身のためである。

サポート役には問題点がある。それは複数回行動する意味があまりないことだ。支援担当が何度も動けたところで、その支援の効果は支援した対象が動かなければ意味は無い。ダブルクロスでは基本的にエフェクトの重ねがけが出来ないため、1回エフェクトを使った相手にはそれ以外何もできないだろう。となれば対象増加の代わりに従者を使用することになる。特にサプリメント、ヒューマンリレーションを導入していないのならばエンゲージを超えて4人に支援を届けることは従者型の特権である。従者が1体でも、エンゲージを超えて2人以上に支援を届けることが回数制限無しで出来るのは従者型だけだ。

もしサポート役を本気で使おうとするなら、作成者が従者をカバーリングすることになるのは確実だ。しかし、それでも良いと思っているなら、サポート役はちゃんとその気持ちに応えてくれるだろう。

ただし、サポート役では最初から動く必要が他よりも更に高いため、ほぼ確実に《血の絆》かDロイス:黄昏の支配者から《従者の行進》を取ることになる。《血の絆》を取った場合、従者を作ってしまうとダイス-3個されることでミドルフェイズでお荷物になる可能性が高い。シナリオの先を予想してプレイする必要があるので、注意してほしい。


さて、長くなったが、従者型の戦い方は基本的に上記のアタッカー役とカバーリング役とサポート役の3種類である。まず最初にこのうちのどの戦い方を行いたいか、を決めなければ従者型製作は進まない。

もし今従者型を作ろうと思っているなら、どの役にするか決定してから作り始めてほしい。

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