第38話 お返しします

 こんばんは。

 今日は朝、大失態を犯しました。


 今日は朝から昼にかけて会社の外で会議があったので、早めに会場入りするために電車の時刻も余裕を見て家を出ました。

 引きこもり体質なので、外に出るのは結構億劫。

 それを奮い立たせて(?)のお出かけです。


 昼にまたがるので、各自お昼持ってきてね~ってことだったので、駅の近くのコンビニに入って、パンとコーヒーを買おうと思いました。

 もう想像つきますよね。

 あれも、これも、と手にいっぱいの商品。出たついでに寄ったコンビニって誘惑に溢れています。

 もう買っちゃえ、と今いらないものさえ買おうとする浪費家です。


 コンビニのお姉さんは笑顔の素敵な人で、珈琲を頼んだ私にミルクはいりますか、と問うてくれます。

 いらないでーす、とご機嫌で答えつつ、カバンを探っても、一向に財布が出てこない。


 はて。


 もう一度カバンを全開して見てもあるべき財布がない。

 そういや、昨日、財布を別の場所に置いて、カバンに入れてない。


 がびーん。


「すみません、財布忘れたので、商品お返しします。ほんっとにすみません」

 と小声で告白。

 レジのお姉さんは心配そうに「こちらは大丈夫ですよ」と言って下さり、小さくなる背中を見送って下さいます。


 この恥ずかしさ。残念さ。

 実は初めてなんです。財布忘れたの。


 買いたかったものが買えない。

 その事実に呆然としてしまって、会議室についてもテンション上がらない。

 おまけに、お昼抜きになってしまって、ぐうぐうお腹は鳴るし、会議はなかなか終わらないし。

 親切な同僚にお金貸そうか、と心配されてましたが、大丈夫、と自分のうっかりへの罰だと思って空腹のまま帰路につきました。


 あれ。

 駅でICOCAを出して、気が付きました。

 これがあれば、コンビニで買えるんじゃ?

 今更な発見に、やっぱり外に出るのって、大変、と悲しくなった一日でした。

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