ビフォアー・プロローグ 2

 妖精種というのは、『最も体内魔力量が多く、最も魔力の扱いが上手い人種』です。

 かなり前の魔費が悪い魔力機器でも、妖精種は難なく使えたそうですよ。まあ、彼ら彼女らの場合、魔力機器が無くても、念話はできるんですけどね?


 身体的特徴は耳──正確には耳殻ですか。そこが長く尖っているくらいですね。

 魔力の出入口ですからね。必然的に大きいみたいです。

 時々、魔力量が多すぎて羽が出来る人もいるらしいですけど、滅多に見ませんし。

 どっちにしろ、大体の妖精種の方は特徴を魔力飽和で隠されるので、注意すれば分かると思いますよ。


 ……え? そっちには魔力が無い!?

 そうですか……。魔力は目に見えませんし、違っていても分かりませんよね……。すみません。僕のミスです……


 それじゃあ、魔力の説明からですね。

 でも、なんて言えばいいんでしょう……。地球の何処にでも存在していて、僕らの生活には欠かせないみたいな……

 強いて言うなら、基本的には目に見えない現代の『動力源』ですかね……


 ええ、目に見えませんよ。基本的には。

 そうですね……、砂糖はそちらにもありますか? ああ、良かった! 

 水に角砂糖を入れた時をイメージすると分かりやすいと思います。

 底に沈んだ個体が揺らぎを作りながら水中に広がっていく。

 丁度、その反対です。


 そうですね……

 一つボックス席を空けて僕の後ろで本を読んでいる女性が妖精種です。

 耳元が陽炎みたいに揺らいでいますよね? 人種を隠すために魔力を集めてるんです。


 デンキ? 誰のですか?

 ……ああ。神鳴りのことですか。

 昔はそんなものを動力にしようとしたって話も聞きましたね。

 けど、失敗したんじゃなかったでしたっけ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る