プロローグ

「聖妖様……」

「すまない。 私はもうダメだ……。 次の者を早く……」

「はい、必ず」








 ──またこの夢だ。苦しそうに布団に横たわる青髪の女性の回りには、狐耳をつけた人や黒い羽の生えた人、そして猫耳ある人もいたりと様々な容姿の人が女性を囲み悲しむ姿。

 この夢は私には無関係のはずなのに、どうしても、私まで悲しくなり目が覚めたら必ず涙を流している。



 やっぱり今日も、目を覚ませば涙が溢れていた。



「あの夢は何なんだろう」


 目を開けて、1Kの部屋を見れば、まだ外は暗くて、スマホを手探りで取り、時計を見れば午前2時だった。

 あの夢を見ていたせいか、喉は乾き水分を欲していたため、私は暖かいベッドから出て身震いしながらも寒い部屋を素足で歩き、冷蔵庫を開ける。冷蔵庫の明かりで少し目が眩むも、水を取り出して喉に流し込む。

 冷蔵庫の冷気とひんやりと冷たい水が喉を流れ、温まっていた体は冷えてきてしまう。


「ッ寒い……」


 季節はまだ冬が始まったばかりの11月。その11月に入ってから、あのような不思議な夢を見るようになったのだ。

 本当にあの夢はいったい何なんだろう。


 そんな事を考えながらも、急いでベッドに戻ろうとした時だった。


「っぅ、……」


 突然胸がジリジリと焼けるような熱さが襲ってきて、私は胸辺りの服をギュッと掴む。それと同時に目眩や頭痛、そして息苦しさもあり、早くベッドへ行きたかったのに、たどり着く前に床に膝まずき、動けなくなってしまう。

 急に襲ってきた動けなくなる程の苦しみは一体なんなのか。しかし私はそんな事なんて考える余裕なんかなく胸を押さえ、ただただ苦しみを耐えることしかできない。


 ──何で、こんな……。私、死んじゃうの?


 そんな事が頭を過り、意識が朦朧としてきて、膝まずいている事すら辛くなってきて、床へ体が倒れてしまう。そしてそのまま目を閉じる瞬間、誰かの足が見えた気がして、薄れゆく意識の中、目線を少しあげれば何者かに見下ろしていたような気がしたが、誰なのか確認することも出来ず、私の意識はそのまま途絶えた。

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