山でモフモフに会ったら異世界入り?! 私、普通のJKなんですけどぉー?!

大福がちゃ丸。

第1羽 目が覚めたら別世界!?

 注意:橘ゆえ さん作「メルヘンなホラー短編集」から「トト山でうさぎに出会ったら」の二次創作になります。

 橘ゆえさんの作品イメージと激しく違うので、大注意です。


 橘ゆえ さんのカクヨム引退しちゃいました(´;ω;`)ウッ…


 **********


「……ん」


 私は目を覚ます。

 状況がわからない……、やわらかい青々とした草の上、私は体を起し、周りをきょろきょろと見渡す。


 やわらかいポカポカと明るい日差し、色とりどりの草花、周りには木も生えていて濃い緑の葉が綺麗だ。

 あぁ、癒され……。


「ちょっと待った!」

 ガバッと体を起こし、この状況を考ええてみる、なんだこれ?


 いや、おかしいでしょ? 確か秋口だったから、暖かいのはまだ良いとしてもだ。

 曇りだったはず、しかもドンヨリと雨の降りそうな。

 それに、こんな所知らないし、寝てないし。


 えぇっと、確か……。

 私は、幼馴染の俊と武彦が「”トト山”の洞窟に行く」と言うので、付いて行こうか迷ったんだけど、結局先回りして山の入り口のお地蔵さんの所で待ち伏せして……。


 ”トト山”にはほこらがある洞窟があり、その近くに昔から、不思議なうさぎが現れるいう言い伝えがあるのだ。

 あと、女人禁制、女は山に入っちゃいけないって話も聞いている。

 お婆ちゃんからも、「女は神隠しに遭うから近寄っちゃなんねぇ」って言われてるけど……、言い伝えとか昔話の類だと思っていた。



「夢じゃ……ないよね?」

 私は、自分のほっぺたをつねってみる。

 うん、痛い……って、ベタだな、でも、こんな事するようになるとは思わなかった。


 ワンピースの裾を叩きながら立ち上がり、辺りをもう一度見渡してみる。


「そう、コスモスが咲いていて……、洞窟があって、中に祠もあって……」

 うん、洞窟ある、それで赤い目のウサギと、めずらしい青い目のウサギが……。


「「キュッ?」」


「!? いたーーーーーーー!!!!」

 洞窟の前で立ち上がり、小首をかしげてこちらを見ている真っ白い赤い目と青い目のウサギの二羽! 


 アレ? 

 うさちゃん、服なんて来てたっけ? 

 和風の、大きな花柄の付いた着物を着ている、しかも、なんか大きくなっているような気もする、たぶん私の腰ぐらいの高さはある。


「……か、可愛い」

 大きなぬいぐるみのような二羽を見て、ほっこりしないわけがない。


「起きたのです、ねぇさま」

「そのようだね」


「!? シャベッターーーー!!!!」

 ウサギがしゃべってる!

 なにこれなにこれー?

 マテ落ち着け私、取り合えず


「すまぬ、人の娘よ、このしぇかむにゅむにゅにゃ」

 青い目のウサギが、なにやらしゃべりだしたが、私はそのほっぺたをムニュムニュと触りまくる。


 ムニュムニュムニュ。

「しゃめにゃいか、やめ、はにゃにゃ」

 ふふふ、やめろといいつつ気持ちよさそうじゃぁないか、ほれほれ。


「はわはわ、やめるのです、人の娘、ねぇさまをはにゃひゃひゃ」

 赤い目のウサギが何か言ってきたが、こっちもモフる、モフりまくる。


「はにゃにゃ」とか「はわはわ」とか声を上げるウサギを、しばらくモフモフして気を落ち着つかせる私。

 うふふ、幸せ。


 満足して、ウサギたちから手を離すと、ウサギたちは、顔を覆って「恥ずかしいのです……」とか「人の娘、恐ろしい子……」とか言ってる。

 恐ろしくないよー、怖くないよー、可愛いものが好きなだけだよー。


 ウサギたちは顔を見合わせて(かわいい)、何やらもにょもにょと相談している。

「寝てる間に、精神状態保護の術を掛けておいたのだが、混乱しているのだろうか?」

「重ね掛けしてみるのです? ねぇさま?」


 聞こえてるっちゅーねん、なるほど、訳の分からない所に来たというのに、わりと落ち着いてるのはそのせいか、てか、魔法みたいなのが使えるのか、すごいな。

 うーん、普通なら、取り乱して泣いたりしてるんだろうなぁ。


「うーん、と、話があるのよね?」

 私は、にっこりとやさしく笑いながら、やさしくウサギたちに声をかけてみた。


「は! そうなのだ! 人の娘よ! この世界を救ってくれ!」

 青い目のウサギがそんな事を言う。


「世界を救うって、私、普通の女子高生なんですけど?」

 むむ、これはあれか、勇者様になっちゃうやつか? すごい力とか覚醒しちゃうやつかしら? 手からビームとか出るようになるのかな? 目からか? いや、ビームは取り合えず置いておこう。


「その辺やらあの辺やらの話は、後で話す、取り合えず山を下りよう」

 雑だな、おい。


「そ、そうなのです! 人の娘よ、とりあえずついて来てほしいのです」

 赤い目のウサギがそんな事を言う。


 ウサギたちは、ポテポテと跳ねて(かわいい)距離をとり、こちらをジッと見ている。


「OK! どこに連れて行くのかわからないけど、付いてってあげるわよっ!」

 ウサギたちは顔を見合わせると、私を先導するように二羽並んで跳ねていく。


 私は、ウサギたちに先導されながら、心の中で「アリスかよ!」と自分の心の中で突っ込みを入れてたりした。


 どうやら、私が居たのは”トト山”と同じくらいの大きさの山だったらしい。

 というか、”トト山”なのかもしれない、うん、”トト山”なんだろう。


 山を下りながら、「喋るウサギなんだし、名前ぐらいついているだろう」と思い、自己紹介もかねて、ウサギたちに名前を聞いてみた。


「私の名前は、莉乃、よろしくね」

「私の名は桔梗という、よろしくな、莉乃」

「椿は、椿というのです」


 青い目のウサギは「桔梗ききょう」、ちょっとお堅い喋りのお姉さんタイプかな、赤い目のウサギは「椿つばき」、なのです喋りの妹タイプとみた。


 ウサギたちに先導されて、山を下りしばらく歩くと、柵に囲まれた集落があった。


 見た限りだと、田んぼに畑、水車小屋も見える、かやぶき屋根の家がいくつもあるし、ちょっと前の田舎の風景って感じだ。

 そして、その集落の入り口であろう門の前に、十数羽のウサギたちが、私たちを待っているように並んでいた。


 私の前を跳ねていた二羽がくるりと振り返り、ウサギたちが声をそろえて私に言った。


「「ようこそ! ”兎”世界うせかいに!」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る