第4話 訪れた?スローライフ
俺とアイリスは正真正銘結婚した。
アイリスの本名は、「ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・アイリス」という。……正直、凄く長い。だけど、結婚したことによりアイリスは夫の名字、つまり俺の名字の「サトウ」に変わり「サトウ・アイリス」となった。
……これはこれで変な感じがするな。
結婚式も終わった。新婚パーティーも終わったで、屋敷のソファーで俺は
可愛い妹…ではなく、妻のアイリスに膝枕をしてもらい休んでいた。
『あなた様、やっと新婚旅行に行くことが出来ますね!』
『お、なんだ?昨日は俺に「あなた」なんて言ってたのにもう恥ずかしくなっちゃったのか?w』
『そ、そうじゃありません!ただ、まだこの言い方に慣れなくて…以前の様に「お兄様」や「お兄ちゃん」では、せっかく結婚したのに…という感じになってしまうで慣れるまでは「あなた様」と呼ばせていただきますね!』
『そうかそうか。頑張れよアイリス』
『はい!』
いきなり俺の中禁句ワードを連発されたせいで動揺を隠せてるのか心配だが気づかれてないようだ。
『話を戻しますが、新婚旅行はどこに致しましょうか、あなた様?』
『んー、そうだなぁ。どんな所がいいんだ?アイリスの行きたい所でいいよ。』
『わ、私が決めてもよいのでしょうか?』
『アイリスが言うところならきっといい所なんだと信じてるからな』
『…もう、あなた様ったら…』
と妻と甘い会話をしていると
ドンドン!
『きゃあ!?い、一体誰ですか!?』
『俺に任せろ。アイリスは意地でも守ってみせる。』
『……は、はい…』
赤く照れてるアイリスを見たかったが状況が状況だ。…よし、まずは一度少しだけドアを開けて、
ガチャ
『アイリス様といて幸せですか?』
『アイリス様との誓いの口づけのことについて詳しく。』
『アイリス様と素敵な夜は過ごせましたか?』
俺はゆっくりドアを閉めた。
…やばいやばい、すげぇ、報道陣がいる!そりゃ王女と勇者の結婚だからな。そうなるかと思ってはいたが、
これは今日は外に出れそうに無いな。
『あなた様、どうでしたか?』
『ああ、ただの報道陣だ。あまりニュースに出ることはないだろう一瞬しか出てないから。』
『……どこに行くか決めようか』
『え、ええ、はい。』
完全に報道陣を無視し妻のいきたい所を決める俺達。
『あ、このお花畑なんてどうでしょうか?あなた様。』
『そうだな〜、確かに見た感じ綺麗そうだし遠くても経費とかに関しては王女の特権とかでなんとか出来ると思うし…いいな!とりあえずそこにしようか!』
『…あの…確かにお父様にねだれば多少の額は貰えますが…今は、その…夫婦なんですよ?偶には、王女という位を捨てて人生で一度しかない新婚旅行をしたいです。』
そっか。アイリスは王女として城の中にずっといたから外の世界を知らないんだった。前に冒険に行きたい、とかめぐみんとかと話してたらしいし、王女という重い位がなかったらアイリスは普通の女の子みたいにはしゃいだりしてたのだろう。
『…そうだな!なら、俺の金で新婚旅行に行くか!人生で一度しかないもんな!アイリスが王女という事を忘れさせるぐらいに楽しませてやるから覚悟しとけよ?w』
『はい!ありがとうございます!
あ、あなた…。』
急に、どでかい禁句ワードが出て少し顔がにやけてしまっていてアイリスは
フフッ、と笑っていた。妻の今日一番の可愛らしい姿を見れたことを光栄に思いながら財布の中身を確認し…
『……アイリス、ごめん。アイリスにあげた指輪、見栄張って一番高いの買ったらお金が尽きてた…。』
『もうっ!あなた様はなんでいつも大事な時に限ってマヌケなんですか!』
『ハイスイマセン、ジュウジュウショウチシテオリマス。』
「これはこれで思い出になるのでいいかもしれませんね…」
『ん?アイリス何か言ったか?』
『い、いえ!?何も言ってませんけど!?そ、それより、もうこんな事は起きないようにしてくださいね!』
『お、おう。分かったってば。』
新婚旅行の費用を全て妻のお父さんに払ってもらうという、新郎生活一発目から盛大なマヌケ面をアイリスに見せてしまい、これから大丈夫かな〜、と思ってしまったカズマだった。今日はカメラマンが一日中張り込みそうな勢いだったので念の為カーテンや小窓も閉めておいて、今日は、二つのベッドで寝ることにした。
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