第43話 どこにいても

 使えないおっさん。

 きっと、そう思われている。

「あんな風にはなりたくない」

 そう思われている。


 私も昔、そう思っていたから…


 いい歳してアルバイト?

 その歳で平社員?


 心の底からバカにしていた。

 42歳まで…落ちることがなかった。

 転職するたびに給料は上がり、どこでも誰より早く昇進した。

 それが自分だと理解していた。


 ちっぽけな世界だった…

 歳を経て、私は可能性を失った。

 気付けば白髪が目立ち、私は歳を取っていた。


 鏡に映る、無職の自分は、あまりに老けて見えた。

(こんなはずはない)


 認めるのに時間を必要とした。

 4年掛かって…私は今を受け入れた。


 あのときの惨めな中年達になったのだ。

 何も無い。

 経験何て何の役にも立たない。


 でも…昔はね…なんて言いたくない。

 過去はどうであれ…今がダメなら、その過去に価値は無いのだから…

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