第31話 過去は役に立たない

 億単位の金を預かり、動かしていた…

 今は?

 百円に満たない部品をネジ締めする毎日に変わった。

「桜雪さん、ビス曲がってるよ気を付けて」


 今まで口を聞くことも無いような現場で働く人から役立たず扱い…

 1円しないネジ1本で怒られる…


 そんなことがあるとは思いもしなかった。


 僕は、そういう立場の人を、見ていなかった。

 その結果、僕は、そういう立場の人以下の場所に立っている。


 悔しいとも違う

 情けないとは思う


「僕は違うんだ…」

 そう思いながら、僕は単純作業を続ける。


 過去なんて…何の役にも立たない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る