ここだけの話、私、オタクです。

月乃天使

第1話 恋愛好きって変ですかね?

「媛河さん!ちょっと相談したいことがあるんだけど・・・」

「はいはーい」

「媛河さん、こっちもお願い!」

「りょうかーい!」

ふふっ、ふフフフフっ!

あ、気持ち悪いですか?

申し遅れました。私は、媛河鈴歌ひみかわりんか

れっきとした、ヲ・タ・ク、なのです!

え?何のオタクか、って?

ふふふ、それはですね―

「今日、○ ○君に告白したいんだけど・・・」

「最近、カレが冷たくって・・・」

そう!私は、

『恋愛』ヲタクなのです!!

「ふむふむ、放課後の図書室とかは、どうですかね。」

「わァっ!ロマンチック~っ!ありがとう!」

「カレが冷たいのは、きっと周りの目線を気にしちゃうからですよ。逆にちょっと距離を取って、寂しいと思わせてみてはいかがでしょう?」

「それいいかも!また、宜しくね~っ!」

放課後に女子にとどまらず、男子までもの恋愛相談を聞く。

「恋愛相談窓口部」という名の、私の「娯楽」なのです!!


「はぁっ!今日もステキな相談がいっぱいありましたぁ~ッ!」

「お疲れ様。これ、二年生の授業で作ったドーナツ。いる?」

「はいっ!」

顧問の先生で家庭科教師の江填先生がテーブルにドーナツとお茶を出してくれた。

甘いドーナツ、先ほど聞いた甘いお話。

私の心は満たされっぱなしです!

「媛河さんは自分の恋愛には興味ないくせに、人の話には首を突っ込むのね。」

ふふっと優雅に笑う先生。

「はい!それが私の娯楽なので!」

満面の笑みで答えたその時。

コン、コン

小さな部屋に響いた、割と大きめのはっきりとしたノック音。

「はぁ~い。」

これはきっと相談者に違いない!

ニマニマと笑ってドアに向かう。

嬉々としてドアを開けると、

「媛河さん。」

整いすぎた男子の顔があった。

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