業火紅蓮少女ブラフ/Breezing For New

枕木悠

プロローグ

プロローグ

 業は炎暑に浮き上がって紅蓮に燃やす。

 私を燃やすのだ。

 残るのは右足に捻じ込まれた銀色のボルトだけ。

 燃えないその銀色は私にある唯一の理性かもしれない。

 銀色の冷たさは、私を静かに考えるようにし向ける。

 そういう時間を作る。

 とても不自由だ、この世は柵ばかりだ、と強く感じさせる瞬間を生む。

 だからそのボルトによって私は、現世に繋ぎ止められているのかもしれなかった。

 そのボルトがなければきっと私は死んでいる。

 右足にボルトが捻じ込まれる前の私は凄く自由で、自由だったから、何だって自由だったから、いつだって死ぬことが出来た。

 死ぬことが出来ると思っていたんだ。

 でもボルトの冷たさを感じるから。

 異物を捻じ込まれ、つまり私は、全てを燃やせない不完全なものになったから。

 虚勢を張るの。

 不完全燃焼ってダサいけど。

 私は業火を紅蓮の色に染める。

 青春に足掻いてもがいて苦しんで悲しみながら染めるよ。

 業火紅蓮少女ブラフ。


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