第7話スーサイドー7

不思議過ぎるだろ・・・この卵…

幾ら異世界でファンタジーでも

無いわぁ・・・


思わず声に出してツッコミたくなったが

頭に座る狐を思いだし心に溜め込む。


目の前で復元した卵にびっくりしたのか

頭に居た小狐が降りて卵をつつく。

まるでじゃれているように見える。




「こらこら、オモチャじゃないぞ」

俺は狐を抱っこして卵から離す。

抱っこされた狐は不思議そうに首を傾げる。


「かわいい」

ふと感情が漏れてしまった。


「名前をつけなくちゃいけないな…

マーブルテイルか・・・

よし!安直にルティで!」


マーブルテイルの名前をルティと告げると

「キュウキュウ!」と嬉しそうに鳴いた。


新たな仲間としてルティが

一緒に暮らす事になった。


とりあえず復元した卵にもう一度血を垂らし

様子見することにした。


マーブルテイルのルティは赤と黄色の為

火と土の属性を持つ。


図鑑によると魔物ランクとしては

Cランクで最終進化まですると

SSランクまで危険度があがる。

滅多にテイムする事は出来ないらしい。

ちなみに狐は卵生ではない。


では何故卵から産まれたのか?

ランダムペットだからだろうと思う。


ルティに手作りの首輪を着ける。

餌は雑食らしく何でも食べる。


体長は今のところ50cm程。

コミュニケーションもよく出来て

一緒に狩りや畑仕事を手伝っている。

ルティのお気に入り場所は俺の頭だ。


狩るときに魔法を使うが

尻尾から最大直径10cmの火の玉、

最大5個、

硬質化した同じく最大直径10cmの土玉、

最大5個を

用途に合わせて自在に操り当てていく。


後々大きさや数も増えて

自在に操っていくだろう。


「キュウゥゥゥン!」

ルティと生活して数日経ち、

ログハウスの中で鳴き声に顔を向けると

机の上の卵の前にルティが居た。


卵に罅が入っている。

もうすぐ孵るようだ。


「ルティ!新たな仲間が産まれるぞ!」

俺はルティに告げると嬉しそうに鳴く。


ピキッピキピキピキッ

ルティが産まれた時に聞いた事の

ない音がなる。

横に罅が大きく入り、卵が左右に揺れる。


ヒュンッ


卵が大きくジャンプした。


「え!?」「キュ!?」

二人?が驚くと卵が落下して

その衝撃で生物が産まれた。


ルティが産まれた時の様に

頭に卵の殻を乗せて・・・


「はじめまして、主殿!」


目の前に産まれたばかりなのに流暢に喋る

グリフォンが現れた。体長40cm程。

鳥の頭に鳥の羽を持つ猫の様な体、

いわゆるよく見るグリフォンだ。

しかも喋る。幼い子供の声で。


「・・・・・・・・・」

言葉が出てこない。


思考が停止しかける。


「主殿?これどうぞ!」

「あぁ…ありがとう」


見覚えの有る紙を渡された。

ルティが産まれた時の様に

折り畳まれた紙が手の内にある。

表に説明文が記されている。


『種族:グリフォン

属性:主に風、育て方によって

異なる属性を得る。

進化はしないが大きくなると

乗る事が出来て空も飛べる。

そして紙を開くと・・・』


見た覚えの有る文を見て紙を開く。


『特別賞!ランダムに能力付与!

また買ってね!』


・・・これ売られてる物なんだ・・・

思わず目を閉じてしまった。

見てはいけない物を見た様な感覚を感じた。

幾つもの考えが浮かんだが

頭を振り目を開ける。


卵の殻が消えてグリフォンだけが残った。


「主殿!翻訳能力が手に入りました。

そのおかげで主殿と話せます!」


・・・あぁ、そういう事なんだ・・・

無理やり納得して現実を受け入れた。


「えぇっと…グリフォンだよね?」

「はい!グリフォンです!」


種族わかるんだ・・・


「名前をつけないとな・・・

フィルはどうかな?」


「フィル・・・良いと思います!主殿!」


暫く考え頷き、トキに答える。


「良かった!それじゃフィルよろしく!

こっちはマーブルテイルのルティだ!」


「キュウ!」


「ルティ殿!これからお願いします!」


新たに喋るグリフォンのフィルを仲間にし

マーブルテイルのルティと俺トキで

一緒に生活する事になった…


「あぁ、主殿?自分ルティ殿と話せますので

意志疎通に困ったら遠慮無くお願いします!

他にも生き物と会話出来ますので

何か有ればその時に!」


・・・このグリフォン、

生物専門翻訳家だな…


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