第6話 彼なら平気?

「おはようございます。北条さま」


 私は肩をフワ〜っとやさし〜くトントンと叩かれて振り返ると、ペットショップ店員にしてジュース屋さんの店員さんがニコニコして私の目の前に立っています。


 相変わらずのめっちゃイケメンぶり。


「おっ、おはようございます……」

「リュウリュウは元気ですか?」

「はい、元気です。おかげさまで」


 はい。そりゃあもちろん。

 昨日も夜中に可愛いリュウリュウはカリカリ走り回ってましたよ。

 ハムスターって夜行性なんですね?


「リュウリュウの飼い方などで不安とかあったら相談にのりますよ。北条さま、いつでもお店にいらしてくださいね」

「あっ、はい」


 私はイケメン王子様のまぶしすぎる笑顔に極度の緊張感を覚えた。

 ペットショップやジュースのキッチンカーでの制服姿も萌えを呼ぶかっこよさですが、清潔感のあるシックでシンプルで派手すぎない私服姿もお洒落でカッコよすぎるんですが。


 目が開けてらんないくらいに、輝いてらっしゃる。


 会えて正直に言うとちょっと嬉しいのに早くこの場から立ち去りたい。

 早く一人になりたい。

 私はだって彼氏がいたことがただの一度もないのだ。


 男の人に緊張する。

 私は彼とは視線を合わせず、もじもじと下を向いていた。


「北条さま、良かったら一緒に映画を観ませんか?」

「へっ? 映画を一緒に? わ、わた私なんかと?」


 耳がおかしくなったのかと思った。

 イケメン王子様は私にはおそれ多いひとことを仰ってくださいました。

 妄想、幻聴じゃないよね?


「いっ、一緒に映画を?」

「はい」

「わ、私などと?」

「はい、僕と一緒にいかがですか?」


 なっ、ななななんですと〜!?

 私など、地味でイケてなくって金持ちでもなんでもないモブな一般女子に、ペットショップの王子さまがお誘いくださってるとは!


 私は腰を抜かしそうだった。

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