スタートライン

眼精疲労

プロローグ 

 私の人生に、初めての色彩を与えてくれた彼女。

 私という存在に、初めての衝動を起こしてくれた彼女。


 私と彼女は釣り合わない。

 わかっている。


 この言葉は伝えるべきではない。

 わかっている。


 彼女と私は、きっとにはなれない。

 わかっている。


 けれど、言葉が出てしまった。


「好きです」


 彼女が私の言葉を聞いて、目を見開き、固まる。


 しばしの沈黙。

 周囲の喧噪、その一切が耳に入らない。


 聴覚には静寂が満ちる。

 彼女の緊張が、伝わる。


 やがて。


 彼女が口を開く――。


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