ハジキとナイフ

 昔、ルパン三世の漫画……モンキー・パンチ先生が『直接』書いたもの……に、そんな決闘があった。うろ覚えで恐縮だが、互いに拳銃とナイフを持ち、拳銃には一発しか弾丸が入っていない。そして、最初の一撃は必ずナイフから始めねばならない。
 本作は、現在過去未来が絡み合う『ハジキとナイフ』だった。二人いる主人公が愛という名の決闘をかわす。男の繰り出すナイフは女の心をえぐりはしたが、女は男を撃たなかった。(比喩として)自分の頭を撃ち抜いた。男はさぞ呆然としたことだろう。
 決闘の立会人は男の職務上の相棒で、この種のハードボイルド風恋愛譚には欠かせない三枚目だ。とてもいい味を出している。実のところ、彼がいなければ決闘もへったくれもなかったろう。
 他、特に印象に残った場面としては、温泉と高級レストランがあった。愛の振り出しに和風、脂の乗った時分に洋風とは中々に渋いセンスだ。シメになるのは甘いデザートか、苦いシャンパンか。

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