ランプの炎がどれだけ頼もしいか、ご存じですか?

 真っ暗な海を行く帆船に、ポツポツとランプの灯が点っている、そんな印象を抱きました。

 登場人物のひとり一人にスポットが当たっているような、丁寧な書き方がなされ、だからこそのめり込む強さが感じられます。

 揚げ足取りをするようなセリフ回しもなく、だからこそ誰も彼もが怪しく思える、そんなミステリーです。

 そして思ったのが、一言でした。

 真っ暗闇の海を行く帆船で、星よりも月よりも明るく、自分の手元を照らしてくれるランプの炎は、とても頼もしいのだ、と。

 誰が犯人であっても、どのような展開になっても、この登場人物たちならば、絶対に面白いと自信を持って断言できます。

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