第5話 おばあちゃんみたいになりたい。

 今日は昨年亡くなったおばあちゃんの命日。


 今年は仕事の都合でお盆には帰ってこれそうにないので、仏前にはいつも以上に長く居た。


 共働きの両親の代わりに私をよく可愛がってくれたおばあちゃん。

 煮物が多かったけど、美味しい料理を毎日のように作ってくれ、学校に持っていかなければいけないものも、いつも用意してくれていた。


 そして私が社会人になってからも、仕事のことや身体のことをよく心配してくれた。


「おばあちゃん。いつも見守っていてくれて本当にありがとう♪ 私はおばあちゃんみたいになりたい」


 そう仏壇の写真に語りかけると、次の瞬間景色がぐにゃりと曲がった。


 気が付くと私は仏壇から私を見つめている。


 そこには拝み終わって立ち上がり、歩き出す私の姿が。


 その歩き方は、片足を悪くしていつも少し引きずっていたおばあちゃんそのものだった。



待って──。

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