第5話 騎士団

さて。束の間の休息も終わった。

トパーズもファレメール王国に帰るし。

俺は少し王国に行ってみたいし。

さー行こう!!

と言いたいとこだけれど…

説教を約2時間されたあと、家に帰って。

また説教された。

そのあと、徹夜で折り紙作ってたんです。

すんごい眠いんです。

寝させてください。

いや、もう無理。

体が耐えれない。

おやすみ。

―――

「マスター!!!!」

「〇△̻̻̻◇※@*<$!?」

「起きてください?マスターが今寝たら、私たちどうやって移動するんですか!!??」

あ、そうだった。

馬の代わりになるものを出すの忘れてた…

「はい…これ」

と。ひょいっとカフラとトパーズの前に代わりになるものを出した。

「…………」

「マスター。」

「うん?なに?眠いから寝たいんだけど…」

「クオーツさん。」

「「これって、ペガサスですよね!!??」」

トパーズとカフラが同時に言う。

「うん。そうだよ。じゃ、あとはこいつらに乗って、ファレメール王国まで行くぞ。俺は寝る。おやすみ。」

俺はそう言って、眠りについた。

「はぁ…自由な方ですねえ、マスターは。」

「そうですね。」


目が覚めた。気付けばもう夜になっていた。

というより、ここどこ?

明らかに部屋の中である。

「あ、目覚めましたか?マスター」

「ん?ああ…カフラ。ここは…?」

「ファレメール王国にある、宿です。」

ああ、着いたんだな。

よかった。

「俺が寝てる間に何かあったか?」

「いえ。特に何も。」

「そうか。よかった。」

「それにしても、随分ぐっすりと寝てましたね。いい夢でも見ましたか?」

「ん?ああ…まぁ。夢は見たよ。」

「どんな夢だったんですか!?」

「えーと…それは…」

「なんですか、なんですか~?とても気になりますぅ」

「いろんな神様に会う夢を見た」

「………」

「なんでそんな顔してんだよ」

期待外れ―だろう。

神様に会うなんて、簡単にできることではない。

………はず。

「はぁ…所詮夢です。正夢になるなんてありえません」

ですよねー

「そ、そういえば、トパーズは?」

「城に帰りましたよ」

「あ、そう。」

「また明日会いに来ると言ってました」

「あ、そうなの!?」

「なんで嬉しそうなんですか…」

「この王国を案内してほしくてさ~」

「私を頼ってくれたっていいじゃないですか!!」

「それもいいんだけどさ。トパーズってこの国の王女様だし。地味にイイとことか知ってそうだし。」

「まぁ、それも一理ありますね。」

「じゃあ、明日…っていうか、もう今日か。」

「そうですね…」

「よっと…カフラ、疲れたろ。休めば?」

「いえ…大丈夫です…」

「大丈夫、大丈夫って言ってたら、大変なことになるぞ?」

「………じゃあ、ちょっと休みます」

「ん。ありがとな、カフラ」

「いえ。こちらこそ」

さ。ぐっすり眠ったことだし。

朝までなにしよう。

「お腹すいたな…」

何か作って、ユニットでも補充しておくか。

万が一、何かあった時にユニットがなくなったら、意味がないからな。

さ。いろいろ作るぞー!!


朝になった。

今気付いたんだけど、ストックできる数って制限ないんだな。

こりゃ便利だ。

攻撃用ユニット、防御用ユニットに、特殊ユニット。

折紙操作で使う主なユニットである。

例えば、攻撃用のユニットなら、【辻風】などだろう。

防御用なら【曼荼羅まんだら】、特殊なら【はばたき】である。

いや~使い分ける時が大変そうだ…

と、

「おはようございます。マスター」

カフラのお目覚めだ。

「おはよ。よく眠れた?」

「はい。おかげさまで。」

「ならよかった」

「お腹すいた」

「え?」

「お腹がすいたんです!!マスター、何か作ってください!!」

おいおい…

「しょうがないなぁ…」

「わーい!ありがとうございますっ!マスター!!」

「はぁ…」

料理は好きだが、そんなにしたくない。

なぜなら。

だるいから。

と。

「クオーツさん」

トパーズがやってきた。

「ああ、トパーズ。おはよう。」

「おはようございます。あ、あの…私にも作ってください…」

…………………。

「朝ごはんは?」

「食べてません…」

「城に行ったんじゃ?」

「抜け出してきました」

へぇ~

お城から抜け出してきたのか。

………………。

「はぁ!?何やってんの!?」

「そ、その…クオーツさんに町案内するのが楽しみで…早く会いたいと思ってしまって…それで…つい…。」

な、なんだその言い訳は!?

とてもかわいいじゃないかっ!!

「はぁ…しょうがない…」

「いいんですか!?」

「今日だけだぞ?次にこういう依頼をするときは、俺が直接城に迎えに行く。」

「がってん承知ですっ!」

…………。

なんだその笑顔は!?

とてもかわいいじゃないか!!

ああ!

嫁にしたい!!

と、スマホが鳴る。

「?」

チラっと見てみると…

「か、神様……?」


【宛先】私の愛しの旦那様♡

【件名】浮気

【本文】上からずっと見ています。決して浮気なんてしないでくださいね?私が一番ですよね?ね?でしたら、そこの女は放っておいて、早く私のところに迎えに来て?


豊穣神様…怖いです…。

愛しの旦那様って…まだ結婚してないだろ…

そもそも神様と結婚とかありえないだろ。

「マスター、誰からですか?」

「クオーツさん?」

2人とも…顔が怖いですよ…?

「ま、まぁ誰だっていいだろう。さ。ご飯作るから待ってな。」

「「は~い」」

危ない危ない。

神様とメールのやりとりなんて知られたら…

なんとなく想像できる。

俺の命が危なくなる。

あ、朝ごはん…とびっきりおいしいものにしてあげよう…


「お待たせ~」

「わぁ…いい匂い…」

「おいしそう…早く食べたい…」

「さ。召し上がれ。」

「「いただきまーす!!」」

2人ともおいしそうに食べてる。

よかった。

というより…

周りの人の視線が気になる。

そりゃそうだ。

ここは公共の施設で。

当然他の人もいる訳で。

視線がね?その…気になるんですよ。

俺、一応人見知りだし…。

そんな俺とは真逆のお二人。

そんなことは気にせずに、おいしそうに食べる。

まぁ、俺的には二人が良ければ、それでいいんだけどね。

「「ごちそうさまでした!!」」

食べるの早いね…

「おいしかったか?」

「「はい!とても!!」」

はは…

二人とも、息ピッタリじゃないか。

「じゃ、すぐ片付けるから、行く準備しとけよ~?」

「「あいあいさー!!」」


「じゃ、案内頼むぞ、トパーズ。」

「任せてください!!」

「頼もしいですね」

「ほんとにな。」

「さぁ、こっちだよ!!早く早く!!」

テンション高い王女様だな…。


歩き回って、立ち寄りしては、歩いて。

ほぼ丸一日。

空を見上げると、オレンジ色に染まっている。

「あーもうこんな時間か…」

「そうですね…」

「まだいいところたくさんあるのに…」

「まだあるんだ!?」

と。

「トパーズ団長ぅ!!どこですかー!!」

トパーズを呼ぶ声。

「…へ?」

「……」

「あ」

トパーズが何かを察したらしい。

というより―

「おい、トパーズ。団長ってどういうことだ。」

「え?だ、団長…?な、何のことかさっぱりわからないなぁー」

「いや、でも、誰かがトパーズを呼んでるぞ?」

「え?ああーど、どうせ同じ名前の人でもいるんでしょ」

いやいやいやいや。

トパーズって言う名前とか滅多になさそうだけど…

「トパーズ。嘘はつくなよ?」

「………」

「団長とは、どういうことだ?」

「も、黙秘権を行使します…」

「………」

トパーズからいろいろ聴こうとした瞬間。

「あ!団長!!」

見つかった。

「ん?なんだ貴様は。トパーズ様から離れろ!!」

「あああ待って待ってカラット。この人は悪い人じゃないよ!!」

「そ、そうなのでございますか…?」

「う、うん。私、今日一日、この人たちにこの王国を案内してたんです!!」

「え。」

え。ってなんだ。え。って。

「それに、この人たちは私の命の恩人だもの!!」

「…………まさか。」

「?」

「この前、少し目を離したすきにいなくなってしまったあと、この人たちに会ったのですか?」

「うん。山賊に襲われてたところを助けてもらった。」

「な、なんと…!!」

その人は、少し下を向いてから、俺たちの方を向いて―

「ご無礼をお許しください。私の名前は、エリファスト・ダイヤ・カラットでございます。どうぞ、カラットとお呼び下さい。」

と、名乗る。

「俺の名前は、アルライト・リスタル・クオーツっていいます。んで、こっちが俺の助手の―」

「カフラでございます」

「クオーツ君にカフラさんね。私は、王家直属の騎士団副団長を務めております。」

「へぇー王家直属の…騎士団ねぇ…」

「はい。私とトパーズ様を含めて、12人の騎士団でございます。」

「12人かぁ…」

やっぱり、王家直属だからか…人が多いなぁ…

「カラット!!クオーツさん、とっても強いんですよ!?」

「そうなのですか!?」

「いや、強くないと思うよ?」

「いえ、強いです!だって、トパーズ様がそう言ってるのですから!!」

「えー…」

「じゃあ、戦ってみますか?」

「いや、結構」

「そ、そう言わずにぃ…」

…。

カラットの目がうるうるしている。

「あーはいはい…わかりましたよ…戦えばいいんでしょ。戦えば。」

カラットの顔が明るくなる。

「ありがとうございますっ!」

「どこでやるの?」

「ついてきてください」


案内されて着いたのは、城の中にあるバトルスタジアムだった。

ついに城の中に来たか…

「さ。やりましょうか。」

「え?ああ、うん…」

フィールドに立ち、カラットと向き合う。

「さ。剣を抜いてください?」

「え?」

「剣を抜いてください」

「いや、持ってないんですけど…」

「え!?」

いや、ほんとに持ってないんですよ…

「~~~~~ッ!!もうなんでもいいです!!」

「あ、じゃあ…お手柔らかにお願いします」

「こちらの方こそよろしく。」

「じゃあ、審判は私がするの~!!」

と、また知らない声が聞こえた。

「じゃあお願いするわ。ジュラ。」

ジュラ…?

まぁいいか。

「お互い構えて!」

とてもきれいな声が響く。

「二人とも頑張って~!!」

「マスター、頑張ってください!!」

観客席から、トパーズとカフラの応援。

「それでは―始め!!」

「ハァァァァァッ!!!」

「!?」

なんかいきなり来たんだけど!?

今のはなんとか回避できたけど…

こういう時は…いったん距離をとる。

それが一番だろう。

「考え事でもしてるのですか?」

「――ッ!!?」

甘かった。

数十メートルあるから余裕だと思ってたけど、全然違った。

一瞬で間合いを詰められた。

結果。直撃―とはいかなかったけど、少し掠った。

ていうか、なんで今避けれたんだ…?

「ほう。今のを避けるか。大したもんだな。」

え…。

と、とりあえず…反撃するしかない。

今度はさっきみたいにはいかない。

ちゃんと能力を使って距離をとる。

距離をとるには…あのユニットしかない。

たくさん作っておいてよかった。

イメージして…

「旋風っ!!」

【旋風、発動シマス。】

詠唱と同時に、大きな竜巻が出来る。

「―ッ!?」

よし。カラットさんの動きが止まった。

チャンスは今しかない。

距離をとって、考える時間を作る。

そうでもしないかぎり、俺に勝ち目はない。

そして、竜巻が無くなったころには、俺とカラットは数百メートルも離れていた。

「今のは能力ですか?面白いですね。」

「そりゃどうも!曼荼羅まんだら!!」

【曼荼羅、発動シマス。】

よし。これである程度耐えれるはずだ。

「それは…シールドですか?」

「ああ。」

「あなたの能力って、本当に面白いですね。」

「それはどうも。さ。続き、しましょ?」

カラットはフッ―と笑って、猛スピードでこっちに向かってくる。


<マスター!!今のマスターでは勝ち目はありません!使!>


と、いきなり頭の中から声が聞こえる。

って、カフラ!?

それに…能力を使っても勝ち目がないって…

じゃあどうすれば…


<トゥワイナーを使って下さい!!>


トゥワイナー…?

ああ!あのユニットは、一番折るのが嫌いだから覚えてる。

まぁでも…頑張って3つだけ作っておいたけどね。

でも…なんでトゥワイナーなんだ?


<トゥワイナーは特殊なユニットです。相手を捕えることもできますし、!!>


へぇ~武器にも…

えっ!?武器にも!?

そんなに便利なユニットならもっと先に言ってくれ!!

じゃあとりあえず手の上にトゥワイナーを出す。

「んーと…トゥワイナー、タイプ…ソード!!」

こんなんでいいかな…?

【トゥワイナー、発動シマス。トゥワイナー、ソードモードニ変形シマス。】

お。できたできた。

剣があると、なんか異世界っぽい!!

「ほう?剣を持ってるではないか。さっきの発言は嘘だったのか?」

「あ、いや。騙してたわけじゃない。」

今知ったんだから。しょうがないじゃん。

「まぁいい。戦いはこれでなくては面白くない!」

カラットさんって…戦うのが好きなのかな…。

「ハァァァッ!!」

「ッ!!」

キィィィィンと、剣と剣のぶつかり合いでものすごい音。

耳が痛くなる。

と。

ピキッと剣にヒビが入る。

「え…?」

「…?なんだその剣は。もろいじゃないか。」

「え!あ…」

「話にならんな。」

カラットさんが攻めてくる。

やばいやばい…

ていうか、これ…殺し合いじゃない…?

そんなことを考えてると、カラットさんがもう一振り。

それを俺はヒビが入った剣で受け止める。

ピキッと、またヒビが入る。

「くっ…もう…だめかっ…」

そしてもう一発喰らって―

剣が折れる。

「!!」

カラットの剣先が自分の喉元でピタリと止まる。

「これで終わりだ。」

「ま、参りました…」

「それまで!勝者、カラット!」

ジュラの声が響く。


「いや~カラットさん強かったなぁ…」

「そうですか?クオーツさんも中々面白い能力を使ってましたが。」

「あ、あはは…まだ使い慣れてなくて。」

「剣を?」

「剣もありますし、能力も…」

「ふーん」

と、横からトパーズが―

「二人ともすごかったですよ!!あんなに楽しそうに戦闘バトルするカラットも、久しぶりに見たし!」

え…?…?

「まぁ…楽しかったな。最近弱い奴ばかりで…」

それはカラットさんから見たらでしょう?

俺から見たらみんな強そうなんだけど…

「まぁ、カラットさんが特別なんですよ。能力に頼らず、今までずっと剣を握ってましたからねぇ…」

?俺、とんでもない人と戦闘バトルしていたんじゃ…

と、背後から―

「お疲れ様なの!!」

「うわぁぁぁっ!!??」

「こーら。ジュラ。脅かしちゃダメじゃない。」

「あはは…ごめんごめん…つい癖で…」

癖…?

「ああ、自己紹介がまだだったの。私はジュライト・ヴァイオ・アメシストなの。ジュラって呼んでくださいなの!」

「俺はアルライト・リスタル・クオーツ。好きなように呼んでくれ。」

「わかったなの!」

語尾…「なの」なんだな。基本的に。

「あ、そうだ!クオーツさん!私たちの騎士団に入りませんか?」

と、トパーズからの提案。

ううん…騎士団か…なんか重い感じがするな…

「じゃあ、今ここにメンバー全員呼びましょうか?」

「あ、呼んで呼んで!」

「じゃあ、ちょっと電話してきますね。」

「うん。お願い~」

カラットさんが電話をする。


「あ、もしもし?今すぐ王城内のバトルスタジアムに集合。」


そして、ピッ、と切る。

「もう少ししたらやってきますよ。私たちの騎士団の本拠地は、王城のすぐ近くにあります。数分で来るでしょう。」

そして、

やってきたメンバー全員、正座している。

「なんですぐ来なかったのかしら?」

うわぁ…カラットさんの説教…

「そ、それは…」

「それは?」

「わ、私がちょっと居眠りしていたせいなのであります!!だから、みんな何も悪くないであります!!許してほしいのであります!!」

また特徴的な人だなぁ…

「まぁ…そういうことなら…」

……………………。

カラットさんって、緩いのかなぁ…

「はぁ…さ。立ちなさい。挨拶するわよ。」

「「はい!!」」

メンバー全員が横一列になって俺の目の前に立つ。

すんごい威圧感ある。

「じゃあ、紹介するね。」

トパーズの声と同時に、それぞれの自己紹介が始まる。

「サンルージュ・ガーネットです。よろしくお願いします。」

赤髪の綺麗な女性。

「さっきも紹介したと思うけど、また紹介するの!!ジュライト・ヴァイオ・アメシストなの!よろしくなの!」

ジュラの髪の毛の色…ちょっとわかりにくいんだよな…

調べてみるか…

「?…なにを調べてるの?」

「ジュラの髪の毛の色」

「あ、私の髪の毛の色はね、京藤きょうふじって言うんだよ!!」

へぇ~京藤かぁ。

全然知らないけど。

ジュラは京藤の色をした髪の毛。身長はだいたい140㎝ぐらいかな。

とてもかわいい子だと思います。

「ふぁぁぁぁ…あ、わ、私はアステナ・マリン・アクアなのであります!」

とても眠そうにしている。

水色のロングヘアで、とてもおっとりしている。

「エリファスト・ダイヤ・カラットです。」

銀髪のお姉さん的存在ですね。

「ウォスティーユ・エメラルド・エネです。よろしくおねがいします。」

真面目そうな人です。緑色の髪の毛です。

「ムーンライト・モスパール。」

………

名前だけ言って、すぐどこかに行ってしまった。

「ああ、ごめんね、クオーツさん。パールは極度の人見知りで。まぁ、仲良くしてあげて」

「ん。」

「シーバイト・ルビスターだ!よろしく頼む!!」

うん。口調は普通に男なんだけど…女子なんだよな…。

見たところ、全員女子だし。

この騎士団大丈夫か…?

「ペリドット・コーラル。よろしく。」

簡潔に済ませたなぁ…

「ファレメール・ムー・サファイアです。がお世話になりました。」

妹…まさか…

「トパーズのお姉さん!?」

そうですよ、とクスクス笑う。

トパーズに負けないくらいの可愛さである。

「インディゴ・オパール・リリーフ・ラーズ。名前…長いから、ラーズって呼んで。」

おとなしい感じの少女である。

「ジェラエント・ラピス・ラズリだよん。」

よ、よん…明るい感じの子である。

「そして私がこの騎士団の団長のトパーズだよ!」

12人いるのか…多いな…。

「あ。俺は、アルライト・リスタル・クオーツ。よろしくな」

「「よろしくです!!」」

12人の声が響く。

「あ、あの、クオーツさん…」

カラットさんが話しかけてくる。

「この騎士団に入っていただけませんか…?」

……………。

「えーと…なんで?」

「見て分かるように、この騎士団には男性の方がいません。それで…一人はいたら楽になると思いまして…」

「で、でも…なんで俺なの…?」

「それは強いからに決まってるじゃないですか!」

横から、団長・トパーズが説明する。

「お願いできませんか…?」

うっ…目をうるうるさせながら俺を見ないでくれ!!

それには弱いんだ…

「わ、わかった…」

「「ありがとうございます!!」」

「そ、それと…」

「?」

「この騎士団に名前をつけてくれませんか…?」

ええ…名前ねぇ…

「なにか案は出てないの…?」

「そ、それが…」

どうやら、このままではトパーズが名付けた、十二人騎士団トゥウェルブナイツになるらしい。ちなみにこの案は、トパーズ以外の全員が反対している。

というより、俺が入ったら、十三人騎士団サーティンナイツにするらしい。

確かに、そんなにダサい騎士団には入りたくない。

しかも、王家直属だろ?余計だめじゃん…

しょうがない。考えるか…

「うーん…」

トパーズに、ダイヤ…ダイヤモンド…?

そういえば…他のメンバーも聞いたことのある名前が入ってるよな…

サファイア…エメラルド…アメシスト…アメジストか。

ルビスター…ルビー。

ラピスラズリ。オパール。

パール。

うん。全部宝石だ。

で、問題は俺の名前に宝石が入っているかどうか。

アルライト・リスタル・クオーツ。

リスタル…クリスタル…。

クオーツ…石英。

うん。大丈夫だ。俺の名前にも宝石が入っている。

さて。宝石騎士団とでも言おうか。

いや…でも、なんかしっくりこない。

宝石を英語で…

ジュエリー。

宝石騎士団ジュエリーナイツ

これだ。これならみんな納得してくれるだろう。

「あ、えーと…宝石騎士団ジュエリーナイツっていうのは…どう?」

みんなが顔を合わせて―

「「とてもいいです!!」」

と、納得してくれた。

よかったよかった。

「あの…それでクオーツさん。みんなと話し合ったのですが…」

なんだろう。

なんか嫌な予感がする…

「あの、クオーツさん。この騎士団の団長になってください!」

…。

ほらね?

言わんこっちゃない。

というより…

「なんで俺なんだ?」

「そ、それは……」

「?」

「言えません…」

顔を赤くしている。

ほんと…人の気持ちってわかんないや。

「じゃあ、やってみようか、な。」

「ありがとうございます!!」

「うん…」


さ。

大変なことになりましたな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る