魔法の使えない最強の魔法使い ~英雄として転生した俺は高い魅力値のおかげでハーレム人生~

あつし

第1話 異世界転生


見渡す限り白い 何も無い世界


あれだな 天国っていうやつかな


俺の周りには何もなく 誰もいない


俺がこれから どうすればいいのかは なんとなくわかる


360度 何も無い世界だが1ヶ所だけ光っている場所があるのだ


う~ん すぐに生き返る必要もないし 正直にあの光に向かうのは……


男は性格がひねくれているようだ


よし 向こうに行ってみよう どうせ 時間なんて関係ないんだろ


男は何もない方向に進んでいく


「なっ 罠か」


男は叫んだ 周りには誰もいないが……


まさか 本当に何もないなんて それに疲れるなんて お腹が空くなんて


罠ではない 正解の方向は馬鹿でもわかるようになっていたのだが……


く~ 死んだのにお腹が空くなんて 今からあの距離を戻って 光まで歩くのかよ


誰のせいでもない 自業自得なのである


空を 空を飛べないのか 幽霊なんだろ


手をパタパタさせ ジャンプする


傍から見たら 只の馬鹿である


男は諦めて トボトボと光の方へ歩いて行く





光に近づくとそこに1人の白い服を着た男がこちらを見て立っていた


俺は走って白い服の男に駆け寄った


白い服の男の側まで行くと


「ようこそ 異世界の住人よ」


俺を待っていたかのように 俺のわかる言葉で話しかけてきた。


「すみません 何か食べ物を」


俺はここがどこか この男が誰かなんかよりお腹が空いているのだ


「すみませんがこの空間に食べ物はありませんよ」


「そんなっ 飢え死にって……俺って死んでますよね?」


白い服の男は一瞬考えて話始めた


「死んでる?器は破壊されたようですが 魂は生きていますよ」


「死んだってことですよね」


「そうですか 向こうの世界の考え方では そうなりますね」


「で 俺は これから 天国ですか地獄ですか」


「えっ あなたは こちらの世界で英雄として転生して貰うつもりです いいですか あっ 拒否権はないですよ」


「えっ ないの まあチートで いい人生を約束されているなら問題ないですけど」


「チート そうですね あなたのいた世界の言葉で言うと そのような感じですね」


「おお それなら お願いします」


「では 早速」


白い服の男が綺麗な3つの玉を取り出す


「どれでも 好きな玉を選んでください 青の玉が勇者の玉 赤の玉が賢者の玉 緑の玉が聖騎士の玉です どの玉にも同じだけのエネルギーを使っています」


「どのように違うんですか」


「俺は 勇者の玉で」


誰?


俺の後ろから いきなり現れた男が勇者の玉を手に取った


「もう1人いましたか 珍しいですね 英雄に選ばれて ここに来れるのはいつも1人なんですが」


「話を戻して 残り2つの玉を説明しますね 赤の玉が賢者の玉と言って 攻撃魔法 回復魔法を使うための身体に強化する玉です それから」


「私は 賢者の玉にします」


「えっ 誰?」


後ろから女が手を伸ばし賢者の玉を手に取った


「それなら 俺が緑の玉か」


「えっ えっ 誰?」


「そうですか では皆様 お決まりのようですね」


「ちょっと待て 俺は 玉が残ってないけど」


「え~と 皆様 お決まりのようですね では 転生を行います」


あっ 俺を無視した いないことにしてるのか


白い服の男が俺から目をそらし話を続けた


「英雄としてこの世界に来てくれた皆様の身体は 他の人達よりも 強く作られます 更に選んだ玉で身体を強化します 転生時の歳は10歳 転生者として王宮に転生しますので この世界のことは王達に話を聞いてください 人の国は50国あるので お好きな国を選んでくださいね そこにある地図に書かれている国を触ると簡単な情報がわかりますよ」


「で 俺は?」


「では 皆様 よい人生を」


3人が光に包まれ転生していなくなった


「俺は?」


ようやく 白い服の男と目があう


あっ そらされた


とても困っているような顔をして話始めた


「こんなことは 始めてで すみません 転生者がここに来たら すぐに入り口が閉ざされるので 1人しか……多くても2人しか 入ってこれないはずなんですが……」


それって 俺が違う方向に進んで寄り道をしたせいなのか……


いや 設定ミスだろ 俺は悪くない


「で 俺はどうなるの? 生き返らないのか?」


「いえ 転生はしてもらいますが……玉の用意に時間が……」


「あっ そうなんだ 心配して損したよ それなら問題ない すぐに生き返る必要ないし」


「ありがとう そう言ってもらえるとは 飢えは辛いと思いますが お待ちいただけるなら頑張ってよい玉を作ります」


「それなら勇者の玉でお願いします」


「わかりました 勇者ですね しばらくお待ちください」


「ちなみに どれくらいですか お腹が空いてしまって」


「200年ですね」


「はあ 無理 無理 お腹が空いてなくても無理 何も無い世界でお腹が空いた状態で待つなんて ここは地獄ですか」


「そう言われましても」


「他の方法は?何でもいい 他の玉でも」


「聖騎士の玉なら作り慣れています 199年くらいで出来ると思います」


「いや 無理だから 無理 他の方法は?」


白い服の男が下を向いて考えこむ


……


沈黙のまま 時間だけが過ぎていく 何もない世界で俺の腹の音だけが聞こえる……白い服の男が何かを思い出したように顔を上げ話し始めた


「失敗した玉でよければ ありますよ」


「おっ どんな失敗ですか 能力が低いとか?」


「いえ エネルギー値は同じです 与えられる力は一定なので心配しないでくださいね……ちょっと……配分が……」


「声が小さいですよ」


「説明する義務があるので……」


「それなら聞こえるように言ってもらわないと」


白い服の男は不安そうな顔をしている そして綺麗な3つの玉を取り出した


「この3つの玉なら すぐに転生出来ます」


「玉の説明と何を失敗したのかを教えてください」


俺は真剣に白い服の男に言った 俺のこれからの人生が掛かっているので必死なのだ


「こちらの玉が英雄王の玉です 勇者だけが使える雷魔法も含めて全ての魔法 全ての剣技を覚えます 欠点は……」


「おお 凄そうですね 勇者の玉よりもいいんじゃないですか 欠点を大きな声でお願いします」


「覚えているけど……使うことが出来ないことくらいですね」


「えっ 覚えているけど 使えないって 意味ないですよね」


「覚えることにエネルギーを全て使ってしまったので……」


「次 残りの2つの玉の説明をお願いします」


「これが大魔導師の玉です 無限に魔法を放つことが出来るようになります」


「凄いと思うけど……欠点は?」


「小さな魔法で威力が小さいことですね スライムを倒すのに100発放たないとダメです 連続に放てないので時間もかかります」


「次 お願いします」


「バーサク王の玉です これは凄いですよ 力 防御 体力 素早さにエネルギーを全て使いました まさにバーサク王です」


「で 欠点は」


「特にありません……ただ エネルギーが足りなかったので 通常ステータスの身体のエネルギーも少し使います 魔力 魔法防御力が0になり上がることもないくらいですね……後は……」


「後は何ですか?聞こえないけど」


「装備が出来ません」


「出来ないのは特殊装備だけですか?」


「武器は全て……木の武器なら……出来ると思います 防具は防御力0の服 普通の服なら問題ありません 指輪も装備出来るし アイテムも使えますよ 一番 ましな……一番いい玉だと思います さあ お好きな玉を選んでください」


……


……



「既に3人転生してしまったので これ以上転生すると偽者扱いされてしまうかも」


「えっ いきなり 死刑とか嫌ですよ 他の方法はないんですか?」


「どんな人生を望みますか?」


「もちろん チートですね それも 凄い師匠に凄い技を教えて貰って 世界最強の師匠がいいです もちろん人のですよ いきなり魔王やドラゴンの前とかダメですよ」


「最強の者の弟子ですね そうですねぇ~ あ いい人がいますよ サービスにその人の近くに転生しましょう」


「おおっ そうだ 断られないように お土産をください 確実に弟子になれるものを」


「わかりました それなら これを持っていけば大丈夫です」


「もう1つ 俺だけまともな玉が貰えなかったので 代わりに 女性にモテるようにしてください」


「モテる?ああ 魅力値を上げればいいんですね……ただ 上げると何かを下げる必要がありますが……下げられるのは知力だけですよ」


「知力は何に役に立ちますか?」


「そうですねぇ 魔法の威力や……物覚えとか……前世の記憶があるのであまり問題はないと思いますよ」


「それならお願いします これで チートな人生」


「では よい 人生を」

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