「大王」

独露

王太子フリードリヒ

あぁ父よ

 1712年1月24日 プロイセン・ベルリン

ホーエンツォレルン家に第3代プロイセン国王となるフリードリヒ2世が誕生する。

やがて彼は戦火と疑惑が渦巻く中、大陸ヨーロッパでその卓越したセンスをもって自国をヨーロッパ列強に入れプロイセンの繁栄と平和を作り上げる。


 幼き頃よりフリードリヒは父王と非常に深い確執があった。

彼を語る上で彼の家庭環境を語らねばなるまい、それは我々現代人にとっては壮絶なものであり(いや当時の帝王学には必要やもしれないが)それでも壮絶かつ残酷なものであるに違いない。

上記にもあるようフリードリヒ殿下(父王フリードリヒ1世と混同するため殿下とつける)は父王フリードリヒ1世とあまりにも深すぎる確執があった。


宮中 

殿下「父上、来週母上がオペラを見に行くそうで私も行こうと思うのですが..」

 そう言い終え顔を上げるとともに彼には硬い杖が打ち据えられた。

父王「この馬鹿者が!貴様は将来プロシアの王になるのだぞ王に芸術などいらぬ!」彼は床に倒れ【フリードリヒ・ヴィルヘルム1世】

彼は軍事力の力でプロイセンの強大化に務めた王であったが、非常に暴力的で無教養であった。フリードリヒ2世に本を読むことを禁止していた。


彼は無言でいたが叫んでいた

殿下(父上、なぜあんなにも美しいものはこのプロシア王には必要ないのですか、芸術は私を知らぬ世界へと導き、高く素晴らしいところへ私の心をいざなっているようだというのに!)


父王「わかったか!王たるもの必要なのは力だ!」


 彼は部屋に戻り父王に禁じられ隠してている書物を取り出し読んだ...

その日の晩餐

王妃「陛下、申し上げます」

父王「なんだ」

「本日、殿下を杖で打たれたと聞き及んだのですがなぜ打たれたのでしょうか」

「そうだ、お前が来週行くオペラを一緒に見に行くといったからだ!」

「それのどこが打つ原因なのですか?」

「王には不必要だからだ」部屋には不穏な空気が漂っていた

不穏な空気の中、家臣が王に報告した

王の家臣「陛下お食事中大変申し訳ございません」

父王「なんだ、申せ」

「申し上げます、先ほど殿下の部屋で蔵書を発見いたしました」

場は騒然としたことは言うまでもあるまい

彼は恐怖に凍り付き顔を上げることができなかった。

父王「貴様、禁止した書がなぜ部屋にあるのだ」

凄まじい剣幕でそれは彼に向いていた王は席を立ち王太子の返事を待つことなく彼を杖で打ちのめし罵声を浴びせた

「大体、この前もフルートをしたりしてお前は全く王としての自覚がない!」

そこに王妃が

「陛下、おやめください芸術も王には必要です!」


【王妃ゾフィー・ドロテア】

フリードリヒ2世の母であり彼はイギリスの国王ジョージ1世の娘であり根っからの宮廷人であり、無教養なフリードリヒ1世とは正反対でよく対立していた


  彼は怯えながらも黙って両親のやり取りを聞いていた

父王「いや芸術など王には必要ないのだ!よいか、芸術は王には必要ないオペラや喜劇などのくだらぬ愉しみには絶対に近づかせぬこと!蔵書も取り上げろ!」

王は興奮して王太子にしばらくの間食事を与えられることを禁止さした。もはやこれは合法的な虐待であった、現代でもこんなことは起こっているが彼の場合は誰も咎めることなどできなかったのだ...


こうして彼は両親の対立に影響を受けながら幼少期を過ごした

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る