失敗の失敗

 会社での会議にて。


 部長が出た意見を次々にホワイトボードにまとめていく。


 会議室にいるものはみなそのホワイトボードに夢中になっていた。

 それもそのはず、ペンのインクが切れてかすれていたのが気になってしょうがなかったからだ。


 言いたくても言えない、部下たちはじっと我慢しながら会議を進めた。


「ちょっと後ろから変えてきてくれないか?」


 小声で先輩はペンを変えてくるようにと頼む。

 仕方なく忍者のように後ろからホワイトボードにある古いペンと新しいペンを交換してきた。


 これでミッションコンプリート!


 誰もがそう思っていた。


「じゃあほかに意見ある人はいるかな?」

「じゃあこうしたらどうです?」


 先輩の出した意見は部長によってかすれた文字で書かれた。


「ここにはかすれたペンしかないのか…」

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