淡く切なく儚い……そっと心に焼き付く物語ーーー

 切ないです……どうしようもなく切なくて、切なさから抜けることが出来なくて、読後しばらく、私の心は”カーテンの隙間から差し込む細い日差し”が“埃をキラキラと輝かせている”空間に居るような錯覚を覚えました。本当の幽霊は”この小説を読んだ読者”なのかも知れません。
 そして、気付く。舞台はその準備室……美しい描写とさり気なく時間軸を越えて降ってくる二人の会話、些細な動きにふんわりとした温かさが感じられ気持ちがほっこりと……そうだ。この小説は切なくないのだ。”最高の思い出と卒業”をテーマにした前向きな恋愛小説なのだ、と。


 夢中で読ませて頂きました。素敵な作品をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。