第30話 In the Forest -15 Carcasses-

シャフトイにある少し大きな森

ここには1つの噂話がある


この森の中には人殺しが住んでいる


事実 6つの死体が発見され

民警はこの森を重点的に捜査していた

私は内心馬鹿だと思いながら

その様を遠巻きに見ていた

その噂話を耳にしていた


もう あの森の中で殺人事件が起こることはないのに

もう あの森の中に人殺しはいない やって来ないのに


あの小屋での殺人が難しければ

あの森で殺せば良かったように

あの森での殺人が難しければ

別の場所で殺せば良いだけ


要するに 犯人である私は

あの森に今更行く必要などないし

誰がいくら捜査しようとも

あの森で何かが出ることはない


あの小屋は完全に潰した上で

名義も分からないようになっている

他にも私を特定する物は残していない


完璧だ


では 今度は別の場所で殺そう

さあ殺そう すぐ殺そう


そう人を殺すのはやめられない

麻薬のように 性質の悪い酒のように

赤くて黒い罪の味への飢えが


赤い狂気が私を駆り立てる

赤い狂気が私を突き動かす


最近は女を見かけると

どう犯して どう殺すか想像するようになった

最近は子供を見かけても

どう犯して どう殺すか想像するようになった

さらに最近では男を見かけても

どう犯して どう殺すか想像するようになった


売春婦 淑女 主婦 少女 ホームレス OL 看護婦

女には色々な種類がいる

大人しい子 元気な子 暗い子 明るい子 男児 女児

子供にも色々な種類がいる

屈強な男 虚弱な男 兵士 パン屋 ゲイ ノン気 バイ

男にだって色々な種類がいる


殺しの対象 ターゲットを少し変えるだけでも

殺人はまた別の悦びを私に与えてくれる


頸動脈 静脈 手首 胸 目玉 口 何処から始めるか

強く斬るか 弱く斬るか 真っ直ぐ斬るか 捩じって斬るか

犯して殺すか 殺して犯すか あっさり殺すか 嬲って殺すか


斬る順番 斬り方を少し変えるだけでも

殺人はまた別の官能を私に与えてくれる


仕事はきつく さして楽しくもないが

殺人があまりにも楽しいので 私はやっていけている

殺人があまりにも楽しいので 私は生き生きしている


後日また 別の場所で少しずつ

合計15の死体が発見されることとなる


そう まだまだ私の殺人は続いてゆくのだ

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