レベッカ・ウィリアムズの達観

 太平洋上空を飛ぶ飛行機の中で、一人の少女が座席に座っていた。

 年頃は、そのあどけない顔立ちから十代後半ぐらいに見えるだろう。彼女は栗色の髪をポニーテールの形で束ねており、ぱちりと開いた目で前を見ていた……前を見ても、あるのは自分の前の席の背もたれだけだ。他には何もない。

 だけど彼女は延々と前を見続ける。瞬きをしなければ、もしかして『これ』は人形なのではないかと思うほどに。

「ねぇ、レベッカ。知ってるかい?」

 淡々と前を見続けていると、ふと隣の座席に座る人物……キャサリンが声を掛けてきた。彼女――――レベッカは、表情一つ変える事なくキャサリンの方へと振り向く。

 キャサリンは可愛らしい名前に反し、かなり強面の女性だった。肌こそ二十五歳という年齢らしい若々しさがあるものの、鋭い眼光や全身を包む筋肉は正しく戦士の出で立ち。女性らしい可愛らしさなど殆どない。

 とはいえ彼女が太平洋防衛連合軍の構成員、つまり兵士であると考えれば、その屈強な肉体も当然のものと受け止められるだろう。

 或いは麗しい美少女であるレベッカが太平洋防衛連合軍の一員であるという事実の方が、奇妙な事かも知れないが。

「何でしょうか、キャサリン」

「暇だからね、ちょっとしたお喋りさ……噂で聞いたんだが、次の作戦では新兵器が使われるらしいよ」

「新兵器?」

「ああ。国連の天才科学者さんが開発したらしいそうさ」

「そうですか。現状の武器ではデボラに有効なダメージを与えられませんし、是非とも期待したいところですが……どのような代物なのですか?」

「なんでも巨大なドリルだそうだ……天才科学者さんとやらは、日本の子供騙しロボットアニメがお好きらしい」

 小馬鹿にした物言いのキャサリンに、レベッカは眉一つ動かさないで話を聞く。と、キャサリンはふんっと鼻を鳴らした。

 確かに、ドリル兵器というのはなんというか……子供っぽいな、とはレベッカも思う。しかし曲がりなりにも国連所属の科学者が研究し、編み出したものだ。全くの役立たずとは思えない。

 何故彼女はそんなに、見てもいない新兵器を毛嫌いしているのだろうか?

「それが、何か問題あるのですか?」

「大ありだよ。私らはその武器を守るために命を賭けろって命じられるのさ。こんな馬鹿馬鹿しい話、ないだろう?」

 それから肩を竦め、レベッカに同意を求めてくる。

 どうやら彼女は、役立たずな武器を守って死ぬ……というのが嫌らしい。キャサリンの気持ちを察したレベッカは成程と思いつつ、少し考え込む。

「それが命令なら、従うのが『軍人』として正しいと思うのですが」

 そして、極めて『事務的』な返答をした。

 キャサリンは目を見開き、次いで苦虫を噛み潰したように顔を顰める。次いで鼻を鳴らし、あからさまな侮蔑の眼差しをレベッカに向けた。

「流石、『お人形さん』は言う事が人間とは違うねぇ」

 そして周りに聞こえるぐらい大きな声で、独りごちた・・・・・

 それは明らかに侮辱の言葉だった。レベッカにもそれは分かった。だけど彼女はキャサリンに何も言い返さず、なんらかの行動を起こす事もなかった。

 何故なら何も感じなかったから。

 何も。

 何も。




 両親を殺した仇。

 そんな存在に対して、普通はどんな感情を向けるものなのだろう? ――――それは、レベッカにも分かる事だ。怒りだとか憎しみだとか、攻撃的な感情が殆どに違いない。或いは何も出来ない自分への悔しさかも知れないし、憎たらしい親を殺してくれた事への感謝でも良いだろう。兎に角、何かを思う筈なのだ。

 レベッカは、何も感じられなかった。

 十年前のあの日……デボラが町に上陸した日、レベッカは両親を失った。動かなくなった両親を見た時には悲しみも感じたし、自分の身に起きた悲劇への怒りも感じていた。

 だけどデボラを見たら、何も感じられなくなった。

 恐怖のあまり心が死んでしまったのかも知れない。或いはデボラがこちらを見向きもしなかった事で、人間の命が如何に無価値なのかを理解したからかも知れない。理由は分からないが……あの瞬間からレベッカは感情を失った。両親が死んだ事を悲しいと思わなくなったし、デボラの事を怖いとも思わなくなった。

 それを悲しい事だとは思わない。感情がなくなったのだから。

 だけど何も感じられない自分というのが……時々、無性に『嫌』になる。

 嫌といっても感情的なものでなく、例えるなら熱いストーブの前から逃げたくなるような感覚なのだが……けれども『心』から逃げたくなってもどうにも出来ない。元の自分に戻る事がどれだけ苦しいかは分からないが、このままではいたくないという感覚がじわじわと胸を苛むばかり。

 勿論レベッカは何もしなかった訳ではない。精神科医によるカウンセリングは受けた。祖父母が暮らす穏やかな環境で療養もしてみた。本もたくさん読んだ。だけど何も、戻らなかった。

 だからレベッカは、デボラと戦う事を決めた。

 自分の両親を殺した奴を倒せば、何かが変わるかも知れないから。奴に殺される瞬間、なんらかの想いを感じられるかも知れないから。

 もう一度何かの感情を感じられるのなら……死んだとしても、悪くはないのだろう。

「(まぁ、先週のオーストラリアでの初陣でも何も感じなかったから、最期まで何も感じないまま死にそうだけど)」

 先週でのデボラとの死闘 ― 人類が一方的に蹂躙されただけだが ― を思い返しながら、レベッカは武装の点検を行う。

 飛行機に乗っていたレベッカが運ばれたのは、インドネシア諸島のとある島。

 デボラに取り付けられた発信器により、次の上陸地点として予測された場所だ。島には小さな村が存在しており、人々の避難が始まっている。とはいえデボラの移動速度はかなり速い。島での避難は恐らく間に合わないだろう。

 そのためレベッカ達太平洋防衛連合軍がデボラの足止めを担う。

 危険な任務だ。それに足止めすら成功するか分からない。しかし誰かがやらねば、島に暮らす数千人の命が脅かされる。戦わねばならない。

 レベッカ達は既に島の浜辺から十キロほど離れた位置……海岸付近だとデボラ上陸時の津波に巻き込まれる危険があるため、この距離での待機が定められている……にある、見晴らしの良い山地に陣取った。レベッカの周りには三百人ほどの兵士が居て、何時でも戦闘を行える体勢にある。

 彼等の多くはレベッカと同じく、家族をデボラに奪われた身。レベッカのように感情を失った者はいないが、代わりに誰もが闘志を剥き出しにしている。デボラを前にしても、彼等は勇猛果敢に挑むだろう。

 それに此度の任務には、彼等の士気を『一応』高めてくれるものが用意されている。

 レベッカは自分の背後へと振り返る。

 そこには、五台の大きな車両が止まっていた。それらは本来ミサイルを搭載し、撃つための車両なのだが……此度は普段とは載っているものが違う。

 載せられているものは、大きな筒状の『杭』だった。杭といっても真っ直ぐに尖ってはいない。螺旋を描いており、なんとも奇妙な形をしている。おまけにその螺旋にはギザギザとした突起があり、非常に凶悪な見た目を作り出していた。

 一言でいうならば、確かに『ドリル』。

 このドリル――――大型装甲貫通弾こそが、国連の用意した新兵器だった。現場に用意されたものは三百本ほど。大きさはかなり小さく、相当数運び込まれている。それにレベッカの傍以外にもこのミサイルを搭載した車両は展開しており、かなりの数が此度の戦闘に参加しているとレベッカはブリーフィング時に聞いた。短時間で弾切れになって役立たずに、という事は早々ないだろう。

 ……レベッカ的には、あの奇妙な形のミサイルが真っ直ぐ飛んでくれるのかが心配である。試験運用ぐらいはしてる筈なので流石に杞憂だろうが。

 それに、使えるものは全て使うべきだ。

 でなければ、今し方地平線の先にある大海原に現れた『うねり』の根源から、生きて帰る事も叶わなくなるのだから。

【海面隆起を確認! 総員警戒態勢!】

 耳に嵌めた小型のインカムから、レベッカ達兵士に指示が飛んでくる。作戦本部からの命令。レベッカ、そしてレベッカの周りに居る兵士達は、己の武器を構えた。

 レベッカの武器は対デボラ用に改造されたロケットランチャー。反動を抑えた事で、女性や未熟な若者でも扱いやすいよう作られた代物だ。構造も単純化されているため量産コストも安い。

 欠点は現代の主力戦車相手には複合装甲で簡単に防がれてしまう事と、対人相手に使用するには爆破範囲が狭い点だが……デボラ相手に使う分にはなんら問題はない。

 当たって爆発し、衝撃を与える。対デボラに求められるのは、この二つだけで十分なのだから。

【センサーに反応あり! 海面上昇はデボラによるものと確定! 総員、デボラを確認次第攻撃せよ!】

 戦闘許可が下りた、瞬間、海岸付近まで近付いた海面のうねりが一際大きくなる! うねりはそのまま海岸を乗り上げ、大津波となって海岸線に並ぶ小さな家々を飲み込んでいく。

 一瞬にして何十、何百の建物が消える。海岸付近に暮らしていた住人は優先的に避難が行われ、既に全員島外へ避難したという話だが……彼等の帰る場所はもう存在しない。汚泥と塩が彼等の故郷を汚していく。

【ギギギギギギィイイイイイ……!】

 そして破滅的な鳴き声と共に、デボラが姿を現した。

 姿が見えた、その瞬間にレベッカはロケットランチャーのトリガーを引く。簡略化された機構は、量産化のみならず安定性にもプラスとなる。装置は問題なく稼働し、たっぷりの爆薬を詰んだ鉄塊が放たれた。

 他の兵士達も、次々と攻撃を開始する。レベッカと同じ地、海から来たデボラから見て正面に位置する、南側の山地に集められた兵士は三百人。数百発の弾頭が空を駆け、デボラへと時速数百キロの速さで突撃する。更に西と東の地帯に展開している部隊からも攻撃が行われ、一千発もの破壊兵器がデボラに撃ち込まれた。

 人間ならば、直撃すれば粉々になる威力。

 しかし人間と同じ、生命体である筈のデボラは全く動じなかった。次々と爆炎がデボラの甲殻上で起き、目玉も爆発に包まれるが、デボラの身を傷付ける事は叶っていない。

 デボラの甲殻は戦車砲にも耐える強度がある。航空爆撃やミサイルさえも殆ど通用しない。人間が扱える程度の武器など、デボラの甲殻の隙間部分にすら傷を入れられないのだ。

 蚊が刺すほどにも感じない、という言葉がピッタリ当て嵌まる状況。十年前のデボラであれば、恐らくちょっと煙たい程度にしか感じず、攻撃を無視しただろう。

 されど今のデボラは違う。

 十年間の戦いの中で、人類はデボラについて新たな、そして重要な知見を得ていた。

 デボラは賢い・・のだ。どう見ても甲殻類にしか見えない姿でありながら、過去の経験から現状を理解する程度の……つまり哺乳類に値するほどの知性があるらしい。

 デボラは学んでいた。自分を攻撃しているものが、自分よりも遙かに小さな生物である事を。そいつらが繰り出した攻撃が、かつて自分の甲殻を砕き、痛め付けてきた事も。

 デボラは許さない。自分に危害を加えるあらゆるものを。

 例えそいつらが、今は自分を傷付けるほどの力がなくとも、だ。

【ギギィイイイイッ!】

 デボラの頭部から、半透明な歪みが放たれる!

 放射大気圧。

 デボラが体内で生成した熱により膨張した大気を、圧縮・照射する事で放たれる破滅の一撃。有効射程は確認された限りでも四百キロを超え、その破壊力は地中貫通弾バンカーバスターにも耐える基地の壁を容易く粉砕するほど。加えてデボラにとってあまり負担の大きな技でないらしく、連射・持続的放射も可能という万能ぶりを誇る。

 現代兵器を鼻で笑うような攻撃を、デボラは地上に展開していた人間達に照射した。デボラは賢いが、加減というものを知らない。或いは巨大なデボラにとってはこれが最低限の威力なのか。ぶちかまされた放射大気圧により大地は砕け、その場に居た何十人かの人間を纏めて塵芥に変える。

 此度の放射大気圧はレベッカからかなり離れた位置に撃ち込まれた。が、安心は出来ない。何故ならデボラは、その頭を大きく振るったからだ。

 放射大気圧は頭の先から撃ち出されている。その頭を振るえば、当然放射大気圧も大きく振られる。

 あたかも鞭でも振るうかのように、破滅の空気が大地を薙いだ!

 放射大気圧は一秒と立たずに何十キロと動き、照射された場所の地面を粉々に吹き飛ばす。レベッカは幸運にも直撃を受けずに済んだが、背後千数百メートルの位置に控えていた後方支援部隊が吹き飛ばされてしまう。あそこには弾頭などの補給物資も置かれていた。このままでは長時間の戦闘は困難である。

 デボラが補給線を絶った、というのは正確ではない。奴はどうにも攻撃が大雑把なのだ。小さいものを狙うのに慣れていないのだろう。しかしこの雑さが、人間にとって厄介極まりない。何しろどの部隊が攻撃されるか、何処が攻撃されるのか、いまいち判断出来ないのだ。つまり補給部隊を『安全な場所』に置いておく事が出来ない。

 今回は一発でこの様だ。補給が絶たれてこれからどうすれば良いのか。レベッカ以外の兵士に動揺が走る。

 まるで、その動揺を鎮めるかのように。

 難を逃れた『新兵器』が、動き出した。

 レベッカは駆動音を鳴らし始めた新兵器・大型装甲貫通弾の方を見遣る。大型装甲貫通弾はゆっくりと昇る発射台と共に持ち上げられ、デボラへと向けられた。

 そして、轟音と共に射出。

 レベッカの目にも見えるぐらい派手に、大型装甲貫通弾は回転していた。レベッカが抱いた不安を払拭するようにその軌道は真っ直ぐで、デボラに一直線に飛んでいく。

 そのままデボラに直撃し……ぐしゃりと、潰れた。

 不発? 一瞬そう思ったが、すぐに違うとレベッカは理解した。

 攻撃を受けたデボラが、僅かではあるが身動ぎしたのだ。加えて大型装甲貫通弾が命中した場所に複眼を向け、少し気にしているかのような反応を見せる。

 まるで、痛かった、とでも言いたいかのように。

 大規模な爆撃以外では殆ど見られない仕草だった。少なくともあんなちっぽけなミサイル一発で取った事は、レベッカが知る限りでは一度もない。

 加えて大型装甲貫通弾は、まだ此処いらだけで二百九十九発も残っている。

 東西南の三方から次々と飛び、空気に白い筋を残しながらデボラに撃ち込まれる大型装甲貫通弾。デボラは命中の度に身動ぎし、やがて大きくて不気味な声で鳴いた。更には放射大気圧を撃ち込んできたが、今度はその雑さが仇となり、大型装甲貫通弾を載せた車両に当たらない。攻撃は継続され、デボラはますますよろめく。

【ギギ……】

 やがてデボラは小さく鳴くと、一発の放射大気圧で辺りを薙ぎ払う。が、これまた雑な攻撃故に肝心の大型装甲貫通弾は無事。ミサイル攻撃は継続される。

 するとデボラは更に怒り狂ったのか――――甲殻を赤く輝かせ始めた。

 デボラの体色変化を見て、レベッカ、そして周りの兵士達は後退準備を始める。あれはデボラの防御体勢。高熱により生じた空気の膨張圧で攻撃を妨げ、同時に自らの肉体回復を促す技だ。

 この技は、過去に何度か観測されたものである。だからこそ、レベッカは僅かながら『違和感』を覚えた。強靱な甲殻を持つデボラが防御体勢を見せた時というのは、先進国……アメリカや日本、オーストラリアなどが総力戦を仕掛けた時だけだからだ。

 たった数百本の最新式ミサイルが、一国の総力を上回るダメージを与えた。そうとしか考えられない事象だった。

【ギ、ギギギィイイイイイッ!】

 防御体勢に入ったデボラだったが、継続される攻撃に鬱陶しさを覚えたのか。デボラは咆哮を上げると、三度目の放射大気圧を西にある山地へと放つ。

 二度も外した事で、デボラも学習したのだろうか。此度の放射大気圧はかなり幅の広い、広範囲を薙ぎ払うようなものであった。これは流石に外れてくれない。密度が下がった事で威力は落ちた筈だが、ミサイル車両は余波だけで呆気なくバラバラになっていた。

 一撃でレベッカから見て左側の山地の部隊は壊滅したのだろう。西から飛んでくるミサイルが止んだ。生き残った二方向の車両が攻撃を続けるが、四射目、五射目の放射大気圧により何もかも吹き飛ばされてしまう。

 最新鋭兵器が潰れてしまえば、最早残る武装は歩兵の携行火器程度。とても敵うものではない。絶望が兵士達に広がる。

 だが、

【……ギ、ギ、ギィ】

 デボラが鳴いた。ほんの少し、上機嫌にも聞こえる声色で。

 そしてあろう事か、その身を翻し、海に向かって進み始めたのだ。

「……え」

 レベッカは、ぽつりと呟いた。周りの兵士達も呆けていて、じっとデボラを見つめるばかり。

 何が起きたのか。

 感情が乏しくなっているがために、レベッカは冷静に思考を巡らせる。巡らせて、一つの仮定が浮かんだ。

 『満足した』のではないか。

 つまりデボラは『強敵』を倒したと思い込み、意気揚々と帰った。先の姿は、レベッカの目にはそんな風に感じられたのだ。

 本来、この結果は屈辱的なものと言えよう。

 相手を倒すどころかろくな傷も与えられず、一瞬で薙ぎ払われた『新兵器』。しかしその攻撃は、傷こそ付けなかったが着実にデボラを苛立たせた。そして吹き飛ばされ、跡形もなくなったが、結果デボラを海へと帰した。

 内情は情けないものだ。けれども人類は、この『情けない結果』すら今まで満足に得られなかった。大切な人を守ろうとしても、その想いは何時も虫けらのように踏み潰されていた。

 だが、今日は違う。

 今日、人類は、大切な人々を守れた・・・のだ。

「……お……おおおおおおおっ!」

 一人の兵士が、唐突に叫ぶ。

 その叫びに最初は誰もが困惑していた。やがて雄叫びを上げる人間は一人、また一人と増えていく。ついには戦場全体から、生き残った兵士達の声が響き渡る。

「やった! やったぞ!」

「俺達は、アイツを追い払えたんだ!」

「はははっ! 大戦果だ!」

 喜びの声は止まず、誰もが『勝利』を喜んだ。誰もが歓喜に沸いた。

 この瞬間、兵士達の心は一つになっていた。人種、性別、年齢……あらゆる違いに関係なく。

 ただ一人、何も感じられないレベッカを除いて――――

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