第7話

 放課後。

 奥野武志と級友達はマキマキの運ばれた病院に向かっていた。

 奥野武志と美紀は腕を組んで歩いている。

 キャップとメガネは手を繋いでいる。

 それに続いて高木が歩く。

 後方ではマサカズと加藤が辺りを警戒している。


 一同はあまり病院へ行くのは気が乗らなかった。

 今の世の中、ぶらぶらと意味も無く道を歩いている者など居ないのだ。

 目的が無い行動や、意味が無い行動は死を招く。

 余計な動きが命取りなのだ。


 マキマキの母親に電話したが、マキマキはまだ死んではいないらしい。

 しかし意識不明だそうだ。

 マキマキの意識が戻ってから行った方が良いと思われた。

 しかし、やはり仲間のマキマキの事なので話し合いの結果、みんなでマキマキの居る病院に行く事にした。

 生きているうちに会えるのは今日が最後かもしれないのだ。


「げっ」

 奥野武志が声を上げた。

 奥野武志たちの目の前に数人の死体が横たわっている。

 その死体は武装していた。


「おい、ゲームが始まっている。高木、調べてくれ」

 奥野武志が言った。

 武志は拳銃を抜いて銃口を前方に向けた。

 それに続いて美紀、キャップとメガネも銃口を左右に向ける。

 マサカズと加藤は後方を警戒している。

 高木はポケットから取り出した小型のコンピューターの画面を見る。


「紅白戦、フォーギナーの奴等だ。七対七。二キロ四方。俺達が今居る所がボーダーだ」

 高木が言った。


「クソ外国人が。いきなり始めんな」

 奥野武志が言った。

 3Dビデオ戦争ゲームに飽きた海外ゲーマー達はこの国を目指してやってくる。

 殺し合いのゲームをしにやって来るのだ。

 勝手に戦うフィールドの範囲を決め、勝手なルールで殺し合いをする。

 この国の住民はとても迷惑している。

 戦争ゲーム反対団体などの抗議により、ゲーマー達にはフィールド予約制が推奨されていた。

 巻き込まれたく無い者に警告を与える為にだ。

 しかし、それは法律ではない。礼儀の無い者達は予約無しで勝手に戦争ゲームを始める事がある。


「しかし、市街戦とはな。紅白戦と言いながら、また俺達を殺しに来たんじゃないのか?」

 キャップが言った。


「だな。おい、この地区の町内会長は何か言ってないか?」

 奥野武志が言った。


「外出禁止。戦闘続行中。今のところ町内人に被害無し」

 高木が言った。


「まあ、ここは迂回だな」

 市街戦。その街の住人も巻き込んだドラマある展開が魅力のフィールド。

 住人に殺されるかもしれない。

 良心により銃口を向けた先に居る子供が撃てない瞬間、敵に殺されるなどということはままあった。

 長期戦になると住民をリクルートする事もある。

 ただ住人を殺しに来る者もいる。

 なんにせよ住民はとても迷惑する。


 森でやってくれよ、森で。

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