第30話 言えない

別れようと言おうとして

言葉を呑み込む私


あの日あの夜の

出逢いがなければ

見知らぬただの男と女


会社勤めは辛いとこぼしても

待っている家族がいるあなた


優しい目に見つめられ

あなたのぬくもりに包まれると

心が揺らぐ


ひとり寝の夜は

淋しすぎて耐えられず

夢遊病者のように

あなたの部屋の前にたたず


今夜も

別れようの言葉が言えない


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