第22話 白い腕

背中から

白い腕をからめてきた彼女


冷たかった俺の肌に

少し赤みがさしてきた時

彼女は言った

そろそろね と


充分開いた大輪の薔薇が

蝶を誘うように

優しく手招きして

彼女は目で合図した


その瞬間を

俺は忘れないだろう


素晴らしい夢の瞬間だった


湯気に包まれた

彼女のうつろな笑みも


死ぬまで忘れないだろう

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