2020年 4月

FM PORT 停波に寄せて


 https://mainichi.jp/articles/20200331/k00/00m/040/187000c


 前触れない突然の発表に、愕然としたエイプリルフール前日。

 平日朝6時50分~10時の帯番組「モーニングゲート」を務める看板パーソナリティの遠藤麻理氏は、番組内で時々「…というのは、ペロ~ん(嘘だよ)」と発言してリスナーを驚かせたり、がっかりさせたり、笑わせたりしますが、今回は、どれにも当てはまらない紛れもない「事実」として語られました。

 いくら、全国ネットワークに属さない地方の「独立系放送局」とはいえ、大口の全国的な大企業のスポンサーがつきにくいからといって、20年に渡って毎日24時間の放送を新潟県内で展開してきたラジオ局が閉局して放送が停波になること自体、驚きでしかありません(この「停波」という漢字変換もすぐに出てこないくらいですから)。


 発表翌日の4月1日(水)の「モーニングゲート」冒頭の前説で、遠藤麻理氏は再度、この嘘であってほしいニュースが事実であることを話し、「悲しいですよね。淋しいでしょう。私もなんです。スタッフもなんです。FM PORTのみんながそう思っています。ですから、これまでそうしてきたように、残りの時間、一緒に悲しんで、一緒に寂しがって、一緒に惜しみながら手を取り合っていきましょうね。戴いたメッセージは、私もスタッフも全部目を通します。でも、今まで通り、どうでもいい話や、面白い話を送ってください。モーニングゲートが一番大切しているのは、役に立つことでもためになることでもありません。今日も笑顔で過ごすこと、リスナーのあなたと一緒に笑う事です。ですから、残りの時間、最後まで一緒に笑っていきたいと思います」と話しました。


 でも、「笑っていきたい」という彼女の言葉に、今朝の私は涙が止まりませんでした。


 私の唯一の長編「夜想曲」に登場するラジオ番組の女パーソナリティのモデルは、この遠藤麻理氏です。

 この10年間、朝の通勤時間の僅かなひと時とはいえ、どれだけこの番組に、遠藤麻理氏の語りに助けてもらったことか。


 radikoプレミアムでなければ、県外の方は聴くことができない地方のFM局の終焉のお知らせでしかありませんが、今日は、このエッセイに残しておきたく、投稿いたしました。

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