ソウルアライヴ

teru

第一章 旅立ち

第1話 異変

 クロナ村は周りを山と森囲まれている為外界との接触が非常に乏しく、人口の少ない村ゆえに村人たちは幼い頃から様々な仕事を与えられ、お互いに助け合って生きていた。


 幼い頃、村の入り口に捨てられている所を偶然村人に助けられたルイン・マグヌスは、今は村長の孫であるレイヴ・マグヌスと共に暮らしていた。

 二人は兄弟同然に育てられ、一人前の狩人として村を支えている。


「ルイン、そろそろ狩りに行くぞ。村の入口で待ってるからな」

「ああ、すぐ行くよ」


 レイヴに急かされたルインは慌てて支度を始めた。

 よく磨かれた剣を手に取るとそれを革紐でしっかりと背に固定し、小腹を満たす為の干し肉とパンを無造作に革袋に詰めた。

 村の入口で合流した二人は先日罠を仕掛けた場所へと向かった。


「何か掛かっていれば良いが」

「なーに、きっと大きいやつが掛かってるさ」


 罠を仕掛けた獣道を目指し歩く二人。

 森の中は薄暗く、クロナ村の住人でさえ時折迷うことがあるのだが、二人は幼い頃から自分の家の庭のように駆け回っていたので、今では地図を見なくとも自分達がどこに居るのか手に取るように理解出来た。

 森を知り尽くしているが故に、二人が森の異変に気付くまでそう長い時間は掛からなかった。


「嫌な気配を感じるな……。何か見えるかルイン」

「大気中のマナが乱れている。それに見てみろこの獣道。普段通っている動物より明らかに巨大な何かが通っているせいですっかり踏み荒らされている」

「どうやらその何かは俺達の仕掛けた罠の方に進んでいるようだな」


 二人は音を立てないよう慎重に進んだ。

 木々のあちらこちらに爪痕のような物が付けられているのだが、その爪痕の位置が高いことからもかなり大型の何かがここに居たことは確かだろう。

 やがて二人は罠を仕掛けていた場所へと辿りついた。


「これは酷い……」

「くそっ……」


 罠があった場所には見るも無残に食い散らかされた動物の死体が転がっていた。

 恐らく罠にかかった獲物を例の何かが襲ったのだろう。

 激しく争った痕跡とあたりに飛び散った鮮血がそれを物語っていた。


「どうするレイヴ」

「一先ず村に戻って皆にこのことを知らせよう。この化け物がもし村に現れたら大変なことになる」

「ああ」


 二人はもと来た道を出来る限り静かに素早く駆け、村へと急いだ。

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