2人で性の入り乱れ

「あら、いらっしゃ〜い」


 ゼミの打ち上げはいつも父親のゲイバー。家族割で安くして貰えるから。

 まあ、それだけでもないんだけど。


「金井ちゃーん。彼女できたー?」

「うう・・・やっとゼミに女子が入ったのに、脈が無い・・・」

「なーにー。わたしが彼女になってあげるのにー」


「矢後ちゃん、病気の具合どう?」

「薬1つ増えちゃって」


 矢後も金井も中年サラリーマンみたいにに馴染んでるし。井ノ部さんにしたって普段遊ばないからこういう所に来るとくつろげるってトークを楽しんでるし。まあ、ゲイバーって文化度の高いエンターテイメントかもね。


「ねえねえ。月出くんは女装しないの?」

「ん? 僕は一応バーテンでボーイだから」

「ふーん。でも、ゼミの飲み会の時まで仕事なんて」

「ほんっとに経営厳しいから。店長と僕で店に出て人件費浮かせないとおねえさんたちのお給料払えないから」

「なら、お布施、安くしとくよ?」


 ウチにまで営業かけるか。まあ確かに母さんにまともにお経上げてあげたことないしな。


「ちょっとちょっと小倉姪ちゃん」

「はい、お父・・・いえ、店長」

「ふふふ。お利口ね。ねえ、日昇光のメイク、見てみたくなーい?」

「え。月出くんの?」

「そうよー。店始めた最初は日昇光もドレス着てメイクしてウィッグ被って・・・まだ高校生だったから人気あったわよー」

「あ、そうなんだ!? 見たい見たい!」

「なになにー? 月出さんの女装だとっ!? さっさと着替えなさーい!」


 う。井ノ部さんまた泥酔してる。


「父・・・店長! なんでいきなりそんなこと言うんですか!?」

「んんー? 小倉姪ちゃんにかわいい姿、見せたいでしょぉー?」

「意味分からん・・・」

「月出くーん。じゃあ、わたしがそのバーテンの服着るよー。だったらおあいこでしょ?」

「おあいこ・・・何のだよ・・・」


 場の雰囲気に呑まれて着替えた。


「わー。月出くんかわいー。足細ーい」

「小倉姪さんも・・・似合ってるね。ちょっとぶかっとしてるけどかっこいいよ」

「ありがと。じゃあ、カクテル作ってみよっかなー」

「って・・・アラ20って言ってたけど、お酒飲めるの?」

「大丈夫。20歳はたちになった」

「いつ?」

「今日! 誕生日!」

「ああん!?」


 30分後、泥酔者1名追加。

 案の定、泣上戸なきじょうご

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