第3話感情

私は産まれて5年で母を12年で父を亡くしていた。それからは、児童養護施設で2年、母の姉夫婦に引き取られて今に至る。


義理の両親となった叔母夫婦は、過保護であり私にとっては、児童養護施設で過ごした2年の方が自由で楽だった。


私が養護施設に入ったのは、父方の親戚はなく、母の家は厳格で父との結婚を反対した祖父母と対立して縁を切ってしまっていたため、私が一人になったのを知らなかったのだ。


風の便りで、父と母の死を聞いた叔母夫婦は血眼になって片っ端から施設を探した。そして、私を見つけたのだ。そんな義理の両親は2年間の孤独を癒そうと、一生懸命に愛そうとしてくれた、しかしそれは私にとっては居心地が悪くなる種の元でしかなかったのだ。


私には、幸せといった感情を持ち合わせていないから、苦痛か幾分かましかの2つの感情だけだった。そのため、過干渉だったり、心の奥まで入ろうとしてくるのは不快以外の何物でもなかった。

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