第3話 預貯金等の整理。

妻・ユリ子の入院によって、私は日所生活も含めて、日常の生活費の支出、常時手元に現金がある訳でも無い、これまでは、妻の依頼で預金通帳と、キャッシュカードを持って銀行へ行って、当座の生活資金を引き出して来たが、これまでも他された通帳やカードの暗証番号などは分かっているし、記憶の中に在るが、それ以外の通帳から預金を引き出す場合の、使用印鑑等がどれを使ったか分らない、認知機能が薄れて行きつつ妻に聞いても、「分からない」の一言。


銀行の窓口で、ともすれば、怪しまれた挙句に、妻ユリ子の認知症と言う事で、口座の凍結なんて事にもなりかねない。


何年か前、取り付け騒ぎを起こした銀行が有って、預金の保証上限が決められ、止む無くあちこちの銀行や郵貯へ預金を分散せざるを得ず、通帳やら証書やらが、ばらばらに保管されており、整理するのに一苦労せねばならない。


恐らく、銀行とひと悶着起こすようなこともありそうだ。


ユリ子の年金が、これまで手付かずだったので、彼女の入院費用をその口座から引き落とすことにしようと思ったが、キャッシュカードも無いので、従来通りの印鑑を使ってとなると、登録されている印鑑がどれか、何んとかそれらしい印鑑を二つ見つけ、二つの印鑑と、妻からの預金引き下ろし等の依頼状を念のために書かせて赴いた。


引き下ろしの金額が10万以下だったので、特にチェックもされず、多分これだと思う印鑑を押印して現金を引き下ろしできた。

全く、家計は全部妻任せだったので、思いも掛けない銀行との取引も有って、何れ近々に整理して行かないと、いざと言う時に、まごつきかねない。

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