10.増える水槽

 二ヶ月も経つ頃には、わたしはすっかりアクアリウムの沼にハマっていた。


 まず、水槽がひとつ増えた。


 ウーパールーパーについて調べていくうち、他の色の個体も飼ってみたくなったからだった。


 体色のバリエーションがいくつか存在する(※注1)中で、わたしが目をつけたのはブラックだった。黒一色の体に黒い両目。ゲームセンターで取ったのはアルビノ個体だったから、二匹にするなら対照的なカラーのほうが飼っていて楽しかろうと考えたのである。


 ただ、一匹目と同じ環境にはするまい、とも思っていた。


 このとき既に、わたしは「アクアリウムを趣味にする」ことを決心していた。水景作りの腕を上げたいという欲求があって、そのためにはいろいろと試していかなければならないことが明らかだった。


 だから、同じ60cmでもらんちゅう水槽は買わなかった。……パイプをカットする作業を繰り返したくなかった、というのも本音ではあるけれど。


ともかく、わたしが購入したのは60cmレギュラー水槽。GEX製の曲げガラス水槽(※注2)と上部フィルター、照明が同梱された商品「ラピレスRV60スタンダードセット」であった。


 ……そういえば。


 余談であるが、このセットについてくる照明、今はLEDライトのようだ。


 わたしが買ったときは蛍光灯2本式の照明器具で、基本的に薄いLEDライトと比べるとはるかに嵩張る代物だったのを覚えている。


 LEDのほうが消費電力が少なくて済むのはわかっているし、発熱を抑えられるという面で有利なことも承知してはいる。……でも、上部フィルターと合わせたとき、蛍光灯のほうが高さがマッチして外観が洗練されて見えたんだよな~。


 デカいケースとか自作してLEDにくっつければ高さ揃うかな、と文章を打ったところで、現在のわたしが使っているのは上部フィルターじゃなくて外部フィルターであることに気づいた。意味無いやんけ。



     ◇ ◇ ◇



 ※注1:詳しくは『アクア・デイズ』第30話参照。ウーパールーパーのカラーバリエーションは大きく五種類に分けられる。


 ※注2:通常の水槽がガラス板5枚(底面・前面・左面・右面・背面)を貼り合わせて作られるのに対し、曲げガラス水槽は3枚(底面・前面・背面)で構成される。カーブのかかった前面ガラス板が両側面をカバーするため。見た目がとってもオシャレだが、側面にスクリーンを貼れないという欠点も。

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