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 ある程度予想していたことだけど、私のエクステは各方面に波紋を広げた。


「コト! 久しぶり!」

「あぁ姫それいいね~」と、コトはすぐ赤い髪に反応した。

「どうしてたの? 心配したんだから!」

「姫心配してくれたんだ~。嬉しいなぁ~」

 コトは休んでいた理由を教えてくれなかったが、それを追及するのも野暮だと思って私も聞かなかった。誰にだって行きたくない日はある。

コトは「こっちも赤いんだね~」と、今度は私の手を取った。


 後ろからマカナが「エクステっていいの?」と聞いてきた。この「いいの?」は使用感を聞いているのではなく、「許されるのか」という意味だ。

「ダメなの~?」と返したのはコトだった。

「アカリどう思う?」

 マカナはクラス一の優等生、神田朱里を呼んだ。この二人はダンス部で一緒になって以来、一緒にいることが多い。アカリは「さぁ、染めるの禁止だからダメだと思ってたけど、別に染めてるわけじゃないもんね」と慎重な回答。点数を落とさない、優等生らしい答えだ。

「でもさ、コト茶髪だよね」

 マカナが言う通り、コトは茶色く染めてパーマをかけたような髪型だ。

「でもこれ全部地毛だよ~」とコトが反論して、私は「え! 自然にそうなるの?」と大きな声で驚いてしまった。コトは「ほら~」と髪を持ち上げる。

「ってことはさ」

 私は思い付いた仮説をみんなに発表する。

「髪の色が問題なんじゃなくて、染めたか染めてないかが問題なんじゃない? だから、エクステは染めてないから、アリ」

 ひとまず、この四人の間では「アリとも言えないけどナシというわけでもない」という中途半端な結論しか出なかった。


 その後順番に授業に来る先生たちは、そもそも赤い髪に気付いていないようだった。私の席が一番前の一番廊下側、つまり右側だったからだ。しかし翌日、体育の授業ではそういうわけにもいかなかった。

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