第5話

「えっ、何、俺?」


自分の事を言われてると思った銀次郎は指で自分を指す。


「違います、隣の方です」


「えっ、俺?」


今度は浜谷が指で自分を指す。


「はい」


どうやら浜谷に用があって来たらしい。


「はい、あなたにお話を聞かせてほしいんです。今、学校中で噂になっている顔に似つかわしくない低い声持っているあなたに、どうしたらその様な声になったのか聞かせて貰いたくてですね」


「は、はぁ」


浜谷は話が長くなりそうだと心の中で思った。


「銀次郎、先に行ってくれないか?」


「お、おうわかった」


そう言うと銀次郎は演劇部の部室へ向かい浜谷はインタビューを受け始めた。


「じゃあ取材を始めますよ」


「はい」


「その声は声変わりによるものなんですか?」


「いや、それはですね・・・声変わりは中2の頃にしたんですけど、そこまで声は低くならなかったんですよね」


「ということは?」


ーお前って本当に優しいよなぁ浜谷君よー


「ゔっ!!」


浜谷の様子が一瞬で変わった。


「あれ? どうしました?」


「ちょっと気分が悪くなったもので・・・これで失礼します・・・」


「あっ、はい・・・ご協力ありがとうございました・・・」


そして浜谷はトイレの個室に行った。


「うっ・・・オェ・・・オェェ・・・もう終わった事だろ・・・今更何思い出してんだよ・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る