Letter 4

 こんにちは。お元気ですか。


 わたしが地球へ行くというのは考えていませんでした。わたしにそんなことができるはずない、と無意識のうちに思い込んでいたのかもしれません。

 最後に月に到着した地球との連絡船が、まだこちらにあります。あれを操縦できるようになれば、ひょっとしたら。


 死ぬのが怖くないのか、とおっしゃいましたね。

 考えてみましたが、正直よくわかりませんでした。たくさんの人が苦しみ悶えて倒れていくのを目にしたときから、おじいさんおばあさんの遺体に背を向けたときから、わたしはずっと考えています。どうして自分だけが生き残ったのか。どうしてわたしも一緒に殺してくれなかったのか。

 でもわたしは臆病です。自分で自分の命を絶つような勇気はありません。だからわたしはこの基地で過ごしているのかもしれませんね。いつか基地が壊れるとき、わたしも一緒に壊してくれるから。

 すでに空調が止まったり電灯が点かなかったりする部屋も増えてきました。ここで生きていくのは、穏やかな自殺とでも言うべき行為なのです。


 でも、もう無理です。わたしはあなたに会いたくなってしまいました。どんな声をしていて、どんな顔をしているのか、知りたくなってしまいました。あなたに会ってみたい。あなたと話してみたい。ああ、今ようやくはっきりと言えます。死ぬのが怖い。死にたくありません。

 あなたに会いたいです。

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