第14話 亀裂の音が君は聞こえたか?

土曜のデートはまだ続く。平日のように

妹が心配されるような要素がないのが

理由でとくに時間が。


さて、そんなわけで次の場所は

本屋の漫画コーナー。流石にここでは

腕に抱きつくのはやめてもらえた。

ようやく離れてくれたそう安心していたら

裾を引っ張られたので、仕方なく従うと

輝くような表情で単行本一巻を取り出す。


「見て、見て!この漫画なんだけど

面白いんだ。少女マンガが興味がない

由布をかなりオススメするよ。

恐らく男子でも面白いと思うから!」


確かに少女マンガは普段、読まないけど

妹がよく読んでいたのがアニメになって

いるマンガで放送のときは、鑑賞をしている

所をコーヒーを飲みながらたまに

観たことがある。


「そうなんだ・・・妹の唯悧が愛読していたから、後で読むよ。」


「ほう。それはやんわりに断れたのか

本当なのか・・・どっちかな?」


「いや、そう推理するなポーズしなくても

本当だから。妹もかなりのマンガとか

アニメを観ているからねぇ。」


単行本を元の場所に戻す高野は、「ふーん」

と生返事すると、物色する移動をしたので

俺もついていく。・・・それにしても

少女マンガコーナーて花のような色だな。


「それなら、わたしがちがった。

妹さんが好きなマンガを読めば

話が合って盛り上がらないかな?なんて

思うのだけど・・・。」


「なるほど、言われてみたらそうだね。

プレゼントとかにも出来るだろうし・・・

でも、なぜ徐々に声が小さく

なっているんだ?とくになんて所から

聞こえなくなった。」


後ろ姿でも背が小さい高野が人指し指と

人指しを突くような動作をしているのも

気になる。アニメとかよく目撃するであろう

あの動作を。これには高野のなにかしらの

暗喩があるのだろうか?

・・・いや、無いな!高野だし。


「・・・今、失礼なこと考えて

いなかったかな、由布少将殿。」


ニヒルに振り返る高野。つまり恐いです!


「い、いやまったく。恥ずかしそうに

典型的な動作になにか意味があるで

ないたろうかなんて、まったく

一寸も考えていません!」


「えー、そんなことなの?・・・あ、

あれはねぇ・・・そ、そう!

妹さんをそろそろアクションしようと

思っただけだからねぇお兄ちゃん♪」


頬を赤らめ少し顔を後ろに向け微笑む

高野。休憩は終了ってことか。


「いやー、でも驚いたかな。高野の事だから

なにも考えずに突拍子のないことを

していたなんて考えていたけど、

これも演技だったんだな。」


俺が思ったことを口にした。高野は肩を

ビクッと反応した?


「そ、そうだよお兄ちゃん。

でも失礼な事は当たっていたことを喜ぶ

べきかなわたし・・・。」


「んー?よく分からないけど

嬉しいなら、喜んだら。」


「・・・そうだね。もうどうでもいいけど

・・・それよりもお兄ちゃん!」


「うわぁっ!?」


つい、驚いてしまったのは腕にダイブつまり

抱き密着状態に戻る。

出来たら離れてほしい。そんな気持ちを

知らずにいる高野(今は妹)は、

ラノベコーナーに進まされる。


「お兄ちゃん普段、ずっとラノベを読むからオススメはないかな?」


「え・・・オススメ?」


そうライトノベルの略称するとラノベ。

小説が苦手な人でも読みやすく、でも

少し難しいのもある。

飽くなき探究心と夢がある。


「そうだな・・・俺はラノベにはうるさい

からなぁ。確か高野もラノベを少し

読んでいたから・・・この本はどうかな?」


俺が棚から一巻を取り出し高野に渡すと

装丁の表を見る。


「これが、由布のちがったお兄ちゃんの

好きなラノベなんだね♪」


「まぁ、好きと言ったら好きだけど

俺の場合は、好きじゃないほうが

少ないぐらいだからなぁ。」


「へぇー、そんなラノベ好き過ぎる

よく分からない発言したお兄ちゃんに

質問ですけど、このラノベを

オススメ理由はなんでしょう?」


最後の言葉はなぜかクイズ口調だった。


「簡単だよ。男性キャラが多く出るし

女性が読んでも楽しめるから。」


ファンタジー系の作品で主人公の実力が

三流で一流という矛盾している

熱いキャラ。なので恐らく女性が読めば

好きなキャラになるのは間違いがない。

そして、声につい笑いが出るほどに

コメディーが面白いのだ。


「そうなんだね、うん。

それじゃあ借りるね♪」


高野がそう言って疑問を俺は言葉にした。


「借りる事はできないと思うけど・・・

もしかして図書館で?」


「ちがう、ちがう。お兄ちゃんの家だよ♪」


当たり前のように明るい笑顔でそんな

ヤバさ加減のない発言する。

い、いや演技だよなこれ。


「そ、そうか。ならえーと、

借りてもいい・・・かな?」


そんな曖昧模糊な言葉に高野(偽りの妹)は

頬を赤らめている。えっなにか恥ずかしい

ことあった?


「そ、そうだね。楽しみにしてるね

お兄ちゃん約束だよ。」


少しぎこちない笑顔と若干の小さくなった

声に触れずそれからオススメをして

語り続ける。結局、なにも買わずに店を

出た俺達はドーナツ屋で食事をしていた。


「・・・それにしても俺と高野が

休日でこう二人で食事するのは

初めてじゃないかな?」


平日は帰りに寄って食べるのは多々ある

のだが、休日はそうでもなかった。

誘われたことは何度もあったけど、

妹が優先の俺はコンマゼロ秒で断った。

少しだけ申し訳ない気持ちは確かにあって

も優先は変わらなかったわけだった。


今は妹の関係もよくなっていて

最大の悩みの種が消えた。

目の前の白ロングヘアーさんの美幼女、

もとい、美少女は目を瞬きしどろもどろに

なっていく?


「そ、そうだね。言われて見たら

そうだよね・・・あはは、なんだか

端から見られたら恋人に勘違いされ

そうだよね。」


「いや、兄妹だろ。悪くてもロリコン野郎と

幼女しか見られないと思うけど。」


「・・・ふーん、そう。なら

これが最後の食事になりそうだね。」


ただならぬ剣呑な気配を放つ。


「・・・っと、いうのはもちろん冗談で

普通にそう見られるだろくなぁ。」


そ、そうだったロリや幼女なんて発言すれば

激昂するのを失念していた。

それにしても最近なにか闇の契約でも

しているじゃないかな。

そんな益体のないことを考えていると、

高野はもじもじ始めた。

怒りを霧散してくれたのはいいけど

嫌な予感がする。形容しがたい予感が。


「・・・由布。あっ!お兄ちゃん・・・

その一緒に洋服とか、選ばない?」


「洋服を選ぶか・・・いいじゃないか。」


呼び方がお兄ちゃんから由布に度々そんな

ミスするけど、しっかり考えてくれている。

いつか訪れる唯悧と良好のために。


「・・・よし。これなら由布の好みも

知ることができるチャンス!」


「えーと・・・俺の好みを知りたいなら

普通に訊いてくれたら教えるけど。」


「ひっぃう!そ、そうなんだけど・・・

実際に見てみないと分からない

じゃない・・・かな。」


珍しく高野は恥じらいながら言う。

どこが恥ずかしいのか分からないが

そこを触れるのはやめるにしよう。

会計を割り勘り出るとまたも腕に

抱きついて向かうことになった。

まずは、高野の洋服を選ぶことに話に

決まりすぐに終わるだろうと思っていた。


「ねぇ、次はこのスカートとだけど

このスカートとどっちが似合うと思う?

あっ、やっぱストップ!試着するから

感想を言って!」


「わかった。(このやりとり何度目だろうか・・・)」


恐らく三十分も試着をする高野に俺は

辟易していた。・・・女の子の試着は

長いんだから諦めてお兄ちゃんなんて

唯悧も言っていた・・・何故か思い出した。

定員が可愛いですね!なんて称賛しても

高野は「ありがとう。でも、

もう少し見るのでお構い無く。」そう

言って俺の方に向かいどうかな・・・

そんな上目遣いを向ける・・・ラノベの

読みすぎかなあの高野がそんな風に見える

なんて。とりあえず似合うのは事実なので

率直な感想を述べる。


「ああ、可愛い似合っている。」


「~~~うん!ありがとう!!」


定員の言葉よりも俺の言葉に目を見開き

そして、心の底から嬉しそうに笑う。


(それが、火を灯すようになったように

次から次へと着て、可愛いと言うと

あの表情だから・・・とっても

早く決めろなんて言えない・・・・・・

どうしたものか。)


試着している間にスマホで時間を確認すると

・・・二時間が経過していた。


「・・・・体感時計もビックリな時間だ。」


つい呟く俺はスマホをポケットに戻し

ただ、待つのみの役目となった俺は

どうしたら、傷つかずに納得して

終わるかを考えを巡らすと、仲良く

往来に歩く金髪碧眼と手を繋いでいる

ハーレム系の主人公と目が合った。


すると、こっちに方角を俺の方に返る。

彼女さんには、なにか伝えると頷き彼女は

笑顔だった。・・・なんだかアニメを

観ているような光景だった。

いや、デート中なんだから俺に構うのは

止めろよ!


「奇遇だね。こんな所で会えるなんて。」


ラブコメの申し子十時連貞とときつれさだ


「本当だよ。それで俺にわざわざ挨拶なんか

しないで、彼女とデートをすれば

いいと思うのだけど。」


「そんなわけにはいかない。助言を・・・

背中を押してくれておかげで

好きな人と一緒に

入られるようになったんだから、

お礼するのは当然じゃないか?」


真っ直ぐな言葉と表情。本当に優しい

奴だな。俺には恐らくこんな風に遮二無二に

なることなんてできないだろう。

背中は、押したと言っても励ましの言葉

だけだし、だからこそ眩しい。

その言動は、優しさや真剣さを伝わるから

そう錯覚させているかもしれない。


「・・・どうしたのかな、由布。」


「いや、なんでもない。それよりも

例の学園二位の美少女だったかな?

解決はしたのか?」


隣は確か学園一位の美少女と有名人。

轟かせているのだけど、正直、俺は

妹の唯悧の方が可愛いと思う。

十時連貞とときつれさだはそうなんだけど・・・なにかを逡巡しゅんじゅんして濁らせる言葉。


「えーと、休松舞やすみまつさんとはしっかり断ったよ。俺には城戸きどさんがいるからね。」


十時とときくん・・・」


ラブコメハーレムさんの言葉に恍惚となる

城戸さん。完全に恋をする乙女だ。


「でも・・・休松やすみまつさんは

城戸さんにわたしはわたしなりに

アプローチして振り向かせて見せるから

一年の猶予を貰えませんか・・・

頭を下げた先輩に城戸さんは、悩んだ末

に分かったわ。と認めたんだ・・・」


俺には知らない問題を解決延長になったことを十時連貞は隣の彼女に

優しいと信頼を眼差しを向ける。


「そ、その先輩の気持ちが分かるから

・・・その猶予期間で解決すること

なると思うお互いに・・・。」


城戸さんは複雑そうな表情している。

恋をするのは大変なんだなぁ。

十時をラブコメとかハーレムとか揶揄していたが、いやだからか、苦労しているの

だろう。上手い解決を。優しい十時が

納得して笑っていけるそんな道を模索して。

だが、そんな道はきっとないだろう。

だけど、その道は本気で探していけば

見つかるかもしれない。


「なんて言うか・・・二人ともあまり

頑張るなよ。一人で二人で悩まないで

俺にも相談してくれ。

一応、十時の友達なんだから。」


二人は俺の言葉に言葉を失い驚愕する。

しまった!こんなナルシストのような

普通の俺がそれを言えば気持ち悪いのに。


「・・・本当に頼もしいよ、そのときは

頼るよ。」


そんな温かい言葉を返す十時に俺が驚く

番だった。


「うん。さすがわたしの彼氏だね。

こんな素敵な友達がいるなんて。」


十時の彼女も俺に過剰な評価を始める。

ヤバイ涙腺が危険なことになっている。

さすがにここで感動して泣いたなんて

見せたくない。

俺は後ろを向き返事する。


「・・・ああ。」


それしか返事出来なかった。頭のなかは

すかっり真っ白でなにも巡らせてくれない。


「・・・由布は愛情に飢えているような

そんな近いような苦しみだって思う。

でも、思い出してほしい周りには

君を強く想う人がいることを。」


十時は、まるで俺の苦しみを知っているような明確的なセリフ。そのセリフは

的が当たっているかもしれない・・・

この涙を堪える感情も愛情に飢えている

かもしれない。

それに周りには確かに俺を想う人はいる。

両親や、十時カップル、高野そして

唯悧・・・。


「・・・えーと、なんだかシリアスな

展開になってきたねぇ。」


この中に入るのが戦々恐々と現れるの高野。


「あれ、高野もいたんだ。」


「ふーん、十時はメインヒロイン様と

お付き合いですか?」


面白そうに別の言葉に変えるとしたら

からかうような表情の高野。


「わぁー、小さくて可愛い♪」


城戸さんは高野を頭を撫でる。屈んで

よしよしなんてする。


「キャー!?」


突然のなでなでに戸惑う高野。


「もしかして、十時くんの友達の

妹さんかな?」


「ちぁがう!いえ、そうです!」


いや、違うだろ!今は演じなくても

いいから高野!


「そうなんだ。妹さんは小学生なんだから

お姉ちゃん達の恋愛に踏み込むのは

まだ早いぞぉー。」


完全にJS扱いされている。頭を両手で

親しみがあるくしゃくしゃされる。


「わぁー、お兄ちゃん。」


この手合いは苦手なのか俺の背中に非難。


「あはは、ごめんね。つい

可愛かったから。」


爽やかでいいんだけど城戸さん。

これ爽やかじゃなかったらロリコンですよ。

そして、背後から殺気のような気を感じた。


「・・・わたし、十時と二人で大事な話が

あるかな?来てくれよね。」


高野の静かなる獰猛を隠した笑顔。

俺と十時は汗が止まらずにいた。

なに、この征服させる力。


「あれ?わたしも行くよ。」


怖じ気つかないのは、城戸さんのみ。

スゲーよあんた・・・。


「ううん。二人だけしてほしいかな

お姉さんお願い。」


キラキラした目で上目遣い高野。

幼女を扱いすると怒るのに珍しいな。

・・・いや違うか代わりに彼氏に怒りの

鉄拳を放つんだな。

そして、十時は高野に連れていかれる。


「少し時間がかかるけど、すぐに

戻るから。」


そう言って行ってしまった。二人だけと

なった俺と十時の彼女の城戸さん。

さて、どう話をすればいいのか

分からないぞ。


「折角の機会ですしご挨拶をします。

改めましてわたしは城戸茜きどあかね。十時連貞の彼女です。キャー!」


その紹介、絶対本人が喜ぶだろうなぁ。

残念だったな十時そして、御愁傷様の十時。

それは、ともかく確かに自己紹介は

していなかったなぁ。


「これは、ご丁寧にどうも。

俺は由布惟信ゆふこれのぶ。戦国武将と同じ名前の立花四天王たちばなしてんのうの一人の由布惟信ゆふこれのぶと呼び方も漢字も同じなんです。」


親がかなりの歴史、好きなので

この名前を付けられた。

もっと、有名な名前にしてほしかった!

と発言したら怒られた。

立花四天王は有名だぞ!

勇猛果敢な武将なのに誇りにじゃないか!

なんて熱く語られた・・・あれ怒っていなかったな。ちなみに俺も唯悧もそこまで

戦国時代に愛はない。


「おもしろい名前なんですね。」


「はは、よく言われます。」


まぁ、検索すれば分かるような

名前だしねぇ。


「よかったら、二人が戻る前になにか

驚かせませんか?」


「・・・驚かせるの流行ってるのかな。」


「えっ?」疑問符(これ→?)の顔。


「あ、なんでもないです。

知り合いが高野がよくやるもので。

驚かせるんでしたら、十時にしましょう。」


「十時くんにですか?」またも疑問符。


「はい。城戸さんはこの多くの服を選んで

綺麗な格好を見れば心を奪えるかも

しれませんよ。」


やる気がなかったけどこの提案を説明しているうちになんだか、この展開なんだか

面白くなりそうだと俄然やる気になる。


「心を・・・わ、わかりました。

早速、色々と試着しますので

審査をお願い致します。」


礼儀正しく頭を下げる城戸さん。

真摯な対応に俺も反射的に頭を下げる。


「でも、城戸さんや敬語はいいですよ。

だって十時くんの友達なんですから。」


頭を上げると城戸さん、もとい、城戸は

そう優しい笑顔で言ってくれた。


「・・・はい。それじゃあ城戸・・・

十時を可愛いと言わせてみせましょう!」


「うん!」


怒りをぶつけられている十時に癒し作戦が

始まった。

最初に選んだ格好はよかったけど、

もっと、フリルが欲しいことで

ゴスロリなら着替えに試着室に入る。

俺はスマホでニュースを観ていると

思いがけない大事な人と出会うことになる。


「・・・お兄ちゃん?」


「この声・・・唯悧。」


振り返ると、妹の唯悧がいた。

女の子の友達二人と・・・

勇ましいそうなイケメンがいた。

この二人はともかく、あのイケメンは

誰だろうか。もしかして唯悧の意中の

相手なのか。それとも十時みたいな

一人で複数の女の子と付き合うような

ハーレム系だろうか。


いや、あれは特殊だから違うなぁ。

俺がそんな考えを巡らしていたから

唯悧達の四人は怪訝そうにする。

唯悧は、俺の反応に心配そうにしていた。


「お兄ちゃんどうしたのこんな所で?」


近づこうとする唯悧。俺はまだ

理解が追い付けずにいた。

まさか、出くわすなんて夢にも思わなかったから、そして試着室のガーデンが開く。


「お待たせー、どうかな由布。」


俺は後ろを向ける。

お互い敬語は止めようと話をした城戸が

ゴスロリの姿で現れる。似合う。けど

タイミングがわるい。


「お兄ちゃん・・・。」


もう一度振り返ると唯悧は、辛そうな表情を

隠そうとしているのだろう手に力を

堪えようとして入れる。

だけど、涙は流れていて、目を閉じ

そして遠ざかろうと走っていく。

唯悧の友達は慌てて追いかける。


「ま、まって!」


「唯悧!?」


女の子友達二人は追いかけるが

黒髪の前髪を立てたアップ・バング

少年は俺に睨みながらこっちに向かう。


「・・・あんた、唯悧がどんな想いで

いるのか分かっているのか!」


えりを掴まれ怒号を放つ。


「・・・どんな想いかなんて一番に

俺が知りたいよ。」


あの光景をデートだって、勘違いしたの

だろう。でも、どうして悲しむのか

分からない。ブラコンじゃないはずだし

兄としてどうすればいいのか分からない。

なぜ、悲しませたのか・・・。


「そうかよ!」


乱暴に掴んだ襟を離すと俺は尻餅をつく。


「あんたは、唯悧に相応しくない。」


そう吐き捨てて行ってしまう。

確かに相応しくないだろうなぁ。

こんな情けない姿で座っていて

追いかけもしない、声を掛けて止めようとも

出来なかった俺が・・・。


「・・・なんで、泣いているんだろうな

俺は・・・・・・。」


涙は溢れる。なにかしたいとそれだけが

溢れて燻っていく。

なんて、無力なんだろう俺は。

兄妹としての関係は決定的にひび

入り壊れてる亀裂の音を。

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