短くて不思議な物語集

染野聖

第1話 ずっとみていた

私が総理大臣を引退して10年になる。


当時の私の所属する党は定数の9割を独占していた。


議場は一院制になっていた。


当然のことながら良法、悪法と世間で言われるものは何でも通した。



・・・・・・・・



今私は政治家をやめ公の場に出ることも無い。


いわゆる隠居?のような暮らしをしている。


今の生きがいは飼い猫のミケと暮らす事。


その昔、国会、閣議、外交から帰ってくると真っ先に走って迎えに出てきたものだ。



・・・・・・・・



ある夜夢を見た。


ミケが話しかけてきた。


「明日私と散歩に行きましょう」


夢とはいえ、長年の相棒の問いかけに答えることにした。



・・・・・・・・



朝目がさめた・・・


ミケが外に出たがっている。


昨夜の夢のとおり後をついていくことにした。



舗装道路、水田地域、沼周辺、林、森のなか


どんどん進んでいく。


ミケはいつもこんなルートで散歩をしているのだろうか?



そんなことを考えながら歩いていると視界が急に真っ暗になった。


どうやら足を滑らしたらしいそして穴に落ちたようであった。


そして私は気絶した。



気絶した頭の中でミケの声が聴こえた。


「私はあなたを、ずっとみていた」と、怒りにも満ちた声で。



何時間たっただろう?目がさめる。


私は迷彩服を着て、ヘルメット(鉄兜)をかぶっていて手には戦闘用ライフルを握っていた。


周りを見ると・・・50代~70代の兵士が・・・そう私と同じ年代の人間たちが戦場で戦っている。



のんびり構えている暇は無かった、今いる陣地にミサイルが着弾。


私は倒れたそして思った、「私が昔、勢いにのり決めた事への報いなのか?」



ここは異世界?現実?どちらにしても、子供が戦場にかり出され少数化し、戦争は泥沼


結局50代~70代の人間が戦争に行かざるをへない世界・・・。


一度参戦したら止めるのが困難なのが戦争・・・仕掛けたほうも、それを受けたほうも・・・

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