【11】真相は目覚めたあとに
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翌日。
目が覚めたときには事態が急変していて、私は目を白黒させていた。
隣にいるだろうはずのロータルの姿がなくてうろたえたことはすぐに解決したし、着替えを済ませて帰宅をするところまではおおよそ想像したとおりだ。
ところが、屋敷に着き、パーティーから戻らない娘を心配していただろう両親と顔を合わせたときに違和感を覚えた。
私からは何も伝えていないのにヨハネス王子とのことを慰められて、その上で私がどこから帰ってきたのかもわかっているように話しかけてくる。それで私はようやく状況を理解した。
そう。ヨハネス王子に婚約を解消されたのも、ロータルにさらわれたのも、彼ら二人の計画だったのだ。ヨハネス王子は私が遠慮していることを知って、いつか私に相応しい男に譲るつもりでいたらしい。ロータルが私に惚れていることを知って、ヨハネス王子が裏で手を回し、こうして決行に至ったのだという。
なお、私の両親があたたかく迎えてくれたことからわかるように彼らにも打診済み。私と同じように第二王子の夫人になるには荷が重いと考え、公爵家の三男であるロータルなら身分も仕事ぶりも申し分ないと考えたらしかった。なにより、彼の熱意に押されたのだという。
私の知らないところでいつの間に……
根回し済みであるなら、もう文句はない。私だって、ロータルの熱意に負けているのだもの。
後日、私は改めてロータルに会いに公爵家のお屋敷を訪ねた。
事情の確認と結婚の承諾については書状でやり取りしていて互いにわかっている。今日はその意志を確認する名目で、今後のことを決めつつ仲を深めておこうと場を設けられたのだった。
私は応接室に通されると、先に部屋にいたロータルと目が合う。彼は待っていたとばかりに穏やかな表情を浮かべ、私は自然と笑顔を向けていた。
「――書状でやり取りしたとおり、事情は承知いたしました。ロータルさま。どうぞこれからよろしくお願いいたします」
「エルヴィーラ、こちらこそよろしく頼む」
ニコニコと微笑み合うと、急に立ち上がってこちらにきたロータルに押し倒された。ソファーがクッションになって背中は痛くないが、これはどういうことだろうか。
目をしばたたかせながら見上げると、ロータルの少々意地悪そうな顔がある。何か企んでいる顔、が表現としては正しいか。
「え、あの」
「もう待たなくてもいいだろ?」
私の返事を待たず、彼は私に甘くて情熱的な口づけを落とした。
《終わり》
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