我が妹 小日向春瑚へ
突然だけど、僕はまた旅に出ることにしました。
高校生になったハルの姿を見たかったけれど、それもどうやら叶わぬ願いになりそうです。湊川を受験するんだったかな。あそこはとてもいい学校です。たしか、同級生が教職員になったんだったかな。関わった期間はとても短かったけれど、いろんなことがあったのを覚えています。
父さんや母さんはまた旅かと呆れるでしょう。大学時代、散々迷惑をかけていたから仕方ないけど、すべて僕が自分で決めたことだからと後押ししてくれたこと、今ではとても感謝しています。と、伝えてくれると嬉しいな。ああもちろん、この手紙のことは内緒でね。この手紙はハルに向けたものだから、他の誰にも見せてはいけないよ。
ハルにだけは言っておきます。
僕はこの旅から、戻るつもりはありません。
今生の旅と決めている。
ハルにこの話をしたら、きっと止めるよね。だから、何も言わずに出かけました。でも、それだとあまりにもハルがかわいそうだ。もしかしたら怒られるかもしれない。だからメッセージを残すことにした。メッセージを解読すれば、僕がどこへ向かうのか、何をするつもりなのかわかるって寸法だ。難しいかもしれないけど、解けないことは絶対にない。謎っていうのは元来そういうものさ。
だけど今から残すのは、ハルにしか解けない謎だ。
いいかい――――
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