Espionage9 対峙

「失礼、っと」


 デカブツをロックしてる装置の管理部屋に忍び込んで人間を気絶させる、何の事はない。


「さて、ご対面〜」


 管理部屋の窓シャッターを開けるとロックされたデカブツが近くに見えた。


「おーデケェ。殺しがいありそうだな」

『監視カメラのハックをしたいのですが』

「まだ何か出来るのかよ……」

『その管理装置に接続出来ますか?』

「ん、はいよ」


 暫くすると監視カメラの映像が転送されてきた。ん? これは……


「おい、私がバッチリ映ってんじゃねえか!」

『それはそうですよ。私が操作してるんですから』

「……お前、監視カメラのコントロール完全に奪ったのか」

『はい。施設のモニタールームには偽の映像を流してます』


 マジでコイツは化物だ。化物の私が言うんだから間違いない。

 とにかく邪魔が入らなくなった事は確かだ。


「んじゃ、ロック外しますか」


 装置のスイッチと操作をやる。妙に煩雑なロックだ。


「あーまどろっこしい! これがこうで……よっしゃ!」


 轟音と共にロックが外れていく、私は意気揚々とデカブツまで走った。



「よしよし、外れてる……ん? なんで動かないんだ?」


 ロックが完全に外れてるのに動かない。普通、暴れるか逃げるかする筈だ。


「ダレダ、オマエハ」

「お前喋れるのかよ」

「ナゼ、ハズシタ。ワタシハ、アバレタクナイ」

「……変わったやつだな」

「モウ、コロシタクハナイ。ハヤクニゲロ、ニンゲン。ワタシノリセイハ、ナガクモタナイ」

「私は人間じゃねぇ、化物だ。よく見ろ」

「……イワレテミレバ、タシカニバケモノ、ダナ」

「暴れようぜ! 化物同士、全力でさ!」

「ソウシタラ、ワタシハ、シネルノカ?」

「もちろんだ」









「全力で来たら全力で殺してやるよ、化物」


「ウレシイ、ウレシイゾ! バケモノ!」






 二匹の化物の戦いが今始まる。

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