どら焼き

 どら焼きの起源は日本だと思われがちだが実はヨーロッパが発祥である。


 ヨーロッパの田舎町にドーラという女性がいた…………もうお分かりであろう。三行目にして起源となる名前が出てしまった。挫けずに話を進める。


 ある日、いつものように夫と息子の為に朝食のパンケーキを焼いていたドーラだったが、夫も息子も一向に起きて来ない。ドーラは二人を起こしに寝室へと向かった。


「ほら二人とも早く起きて!朝食のパンケーキが冷めてしまうわ。」


 そんなドーラの言葉にも二人は布団を被ったままだった。


「う~ん…後5分…。」


「さっきも後5分って言ったじゃない!もう起きないと間に合わなくなるわよ!」


 そんな言葉に二人はだんまりを決め込んだ。ドーラは怒りに震えた。そして、もう知らん!と寝室を後にした。


 20分後…。


「何で起こしてくれなかったんだ!!」


 夫は怒鳴り散らしながら朝の支度をしていた。そんな夫をドーラは「知らんがな」と無視しました。そして夫は朝食もとらず仕事へと出掛けて行きました。


「母ちゃん!!何で起こしてくれなかったんでやんすか!?」


 長介…いや、息子も慌てて寝室から飛び出して来ました。


「起こしたわよ。でも起きなかったじゃない!」


 現代の家庭でもあるあるな光景がそこにはあった。人類は意外と変わらないのだ。


「もういいよ!じゃあ行ってきます!」


「ちょっと待ちなさい。」


 そう言うとドーラは夫が食べずに行ったパンケーキと息子のパンケーキの二枚にバターとジャムを挟み息子に渡した。

 息子はそれを受け取ると咥えながら学校へと出掛けて行った。


 それを見送ったドーラは思った。


「…あれなら手を汚さないで食べられるわね…。商売にならないかしら…。」


 こうしてドーラは改良に改良を重ね遂に商業ベースに乗るであろう物が出来上がった。それに自分の名を入れ『ドーラ焼き』と名付けたのである。それが次第に訛り『どら焼き』となった。


 しかし形こそ現在のどら焼きそのものであったが中身はジャムであったりクリームだったりした。今現在のアンコのどら焼きになるにはこれより200年後、日本に渡るのを待つ事になる。


 余談ではあるが、このどら焼きを食べたある伯爵が「こんな感じでパンにハンバーグ挟んだら旨いんじゃね?」と思い立ち出来たのが『ハンバーガー』である。


 どら焼きとハンバーガーの起源が同じである事はあまり知られていない。


 

 嘘だけど…。

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