第4話

 訓練が次第に多くなり、私達がこなすべき任務の半分をもめる様になった頃、基地の司令を通じ、作戦本部からの極秘情報が明かされた。

 海中貫通爆弾にまぎれていた探査機での調査によって、いまだ数は多く無いとは言え、海底に『奴ら』の生産設備が発見された事実、そして、遠からぬ将来、それを使って海中で数を揃えた『奴ら』が再び地上への侵攻を開始するだろうと言う事実は、大抵の物事には動じ無い老練なエクスリストの飛行士パイロット達にも、大きな驚きを持って迎えられた。

 しかるに、我々エムロード人は、自分達の未来を掛けた決戦、領土の完全奪還以来、少ないとは言え無い犠牲を払いながらも成し遂げて来た海上での抵抗の最後のひと踏ん張りとして、深海の海底に堅牢な素材で建築され、地上侵攻型を増やし続けている、その生産設備を叩かねばなら無かった。

 最後の勝敗を決するべきその一大作戦の名前は、『楕円だえん作戦』と言った。


 楕円だえん作戦──そう、それは私がこの世界に来る切っ掛けになった、最後の作戦だ。

 作戦内容は、オーリアの郊外の遺跡で見付かった外宇宙からの船の技術を利用し、大空間制圧用に新開発された新型の戦略兵器、Elli-Ptischeエリ-プティッシェを、『奴ら』の生産設備がある海中に投下し、一網打尽にすると言うものである。


 やって来たその日。

 愛機に乗った私は、先発するX4機を背後から見ながら、滑走路の端で出撃の順番を待ち──。

 そして、飛び立った。

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