教会のゾンビ


 扉を開いた先にあったのは広いパーティー会場だった。しかし、ここも上と同じでボロボロになっている家具やカーペットの目立つ状態だ。


「教会の地下にこんなところがあるの?」

「いや、多分ゲーム的なあれだろ。教会と披露宴会場? かはわからないけど、あの場所は違う気がするし。想像だけど」


 結婚式がテレビで見るものぐらいしか知らないからイメージだけど。


「でもモンスターもいな……うん?」


 フロアの中心まで移動して机の下とかを確認していると、アオがなにかに気づいて床に耳を当てる。


「どうした?」

「なんか下にいる。というか、床にぶつかってる?」

「ぶつかってるってどういう――」


 聞き終わるよりも前に、突然アオの言ってることがわかることが起きた。

 地面の石をつく破ってゾンビが這い出てきたのだ。


「アオ!」

「うん」


 アオはすぐに立ち上がって俺の近くまで移動してくる。俺は改めて剣を構えて周りを警戒する。

 すぐに出てきたやつに斬りかからないのは、そもそも今いる場所が部屋の中心のため、別方向から挟まれる可能性もあるからだ。そうなった場合に一体に考えなしに突っ込むのは得策じゃない。

 さらに言えば、ここに来る前にみたパーティーが戻ってきてる様子から単純に攻略できるものではないという考えが頭にあるのも理由だ。

 たまに考えすぎて逆に良くないときもあるんだがな。


「思ったより数でてくるな」

「レベルも高い」

「俺は2体ぐらいまでなら開いてできるけど、アオはレベル的にキツイか?」

「盾の人がいないとキツイと思う」

「時間的にちょっと早いけど、これ以上どうせ進むの怖いし戻るか」

「了解」


 俺はアオに合図を出してから元きた方向に走り出す。ゾンビは倒さずに適当に吹き飛ばして無視だ。途中で一体のゾンビに捕まりかけてつばぜり合いにになったが、アオが魔法で援護してくれて地上まで戻ることができた。


「大丈夫?」

「助かった。しかし、ゾンビってどういうことだ」

「さっきナツがせってた奴みたけど、礼服きてた」

「……新郎だとか結婚式の参列者ってことか?」

「わからないけど。あたしが見たゾンビはそういうの着てた。ボロボロだったけど」

「へぇ……意外と凝った設定してるのかもな。こういうマップはたいていボスがいるけど、新婦がボスだったりしてな」

「ありそう」


 俺とアオはそんな風に話しながらひとまずリヴァイアスに戻る。その後は時間になるまで噴水の近くで座って話していようということになった。

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